「学習発表会、今年は何をやろう」「練習の時間が足りない」「全員に出番をつくりたい」。2学期が近づくと、多くの担任の先生が同じことで悩みます。
この記事では、学習発表会のねらいと学芸会との違いを整理したうえで、学年別の出し物アイデア、本番から逆算した準備スケジュール、そして全国の先生たちの実践例をまとめました。学年会でそのまま使えるように、声かけ例や振り返りの観点も入れています。

- 学習発表会とは何か、学芸会とどう違うのか
- 学習発表会の3つのねらい
- 低・中・高学年別の出し物アイデア
- 本番から逆算する6週間の準備スケジュール
- 先生たちの実践例5つと、もめない役決め・声かけのコツ
この記事は、全国の小学校教員が実践を学び合うオンラインコミュニティ「授業てらす」が、公開されている学校や先生の実践をもとに編集しています(2026年10月時点)。
学習発表会とは?学芸会との違い
学習発表会は、子どもたちがふだんの授業で学んだことを、保護者や地域の人、ほかの学年に向けて発表する学校行事です。小学校学習指導要領では特別活動の「学校行事」のうち「文化的行事」にあたり、「平素の学習活動の成果を発表し,自己の向上の意欲を一層高めたり,文化や芸術に親しんだりするようにすること」と示されています。
学芸会との違いは、何を見せるかにあります。学芸会は、劇や合奏など「舞台で見せるための出し物」を、特別な練習を重ねてつくり上げるのが中心でした。一方の学習発表会は、国語の音読、総合的な学習の時間の調べ学習、音楽や外国語の授業など、ふだんの学びの成果を見せる場です。
学芸会と学習発表会の違い
いちばんの違いは「何を見せるか」です
| 学芸会(これまで) | 学習発表会(いま) | |
|---|---|---|
| 見せるもの | 劇・合奏など舞台のための出し物 | ふだんの授業で学んだことの成果 |
| 練習 | 行事のための特別な練習を重ねる | 授業の延長で取り組み、練習は短く |
| 発表の形 | 劇・合唱・合奏が中心 | プレゼン・群読・展示・劇などを組み合わせる |
| 出番 | 演技が得意な子が目立ちやすい | 得意な分野で全員に出番をつくりやすい |
| 準備物 | 大道具・衣装をイチからつくる | 授業で使ったものを生かし、簡素に |
呼び方も変わってきています。子育て世帯へのアンケートでは、子どもが通う学校で行われている行事は「学習発表会など別の名称」が46%で、「学芸会」は8%でした(CHANTO WEB調べ)。学校によっては「学びの発表会」「学習成果発表会」「ふれあい発表会」などの名前で行われています。
学習発表会の3つのねらい
ねらいを学年で最初に共有しておくと、「劇の完成度」と「学びの成果」のどちらを優先するか迷ったときの判断基準になります。
いまの学習発表会は「特訓の成果」から「学習の成果」へ
ここ数年で、学習発表会の形は大きく変わりました。小学館の子育てメディア「HugKum」の記事では、公立小学校の副校長が、以前は行事のために特別な練習時間を取って「特訓の成果」を見せていたのに対し、いまは「ふだんの学習の成果」を見せる形に変わってきていると説明しています。きっかけは、コロナ禍で行事を見直したことと、教員の働き方改革です。
- 全校一斉の休日開催から、学年ごとの平日開催や時間をずらした開催へ
- 大道具や衣装をイチからつくらず、授業で使ったものを生かして簡素に
- 劇に限らず、プレゼン・ポスター発表・群読・合奏などを組み合わせる
- 展覧会や音楽会と1年ごとに交互に行う
学年別|学習発表会の出し物アイデア
出し物は「発表会のために新しく教える」のではなく、「授業でやったことを、見せ方で工夫する」と考えると、練習時間を抑えながら完成度も上がります。
| 学年 | おすすめの出し物 | つながる授業 | 指導のポイント |
|---|---|---|---|
| 低学年 (1・2年) |
音読劇、詩の群読、「できるようになったこと」発表、鍵盤ハーモニカの合奏 | 国語の物語教材、生活科、音楽 | 全員で声を出す場面を多くし、一人のセリフは短くする |
| 中学年 (3・4年) |
調べ学習のクイズ発表、ペープサート、物語をアレンジした劇、リコーダー奏 | 総合(地域・環境・福祉)、社会、国語 | グループごとに担当を決め、構成を子どもが考える |
| 高学年 (5・6年) |
スライドを使ったプレゼン、ドキュメンタリー風の劇、合唱と映像の組み合わせ、英語スピーチ | 総合(防災・SDGs・キャリア)、外国語、音楽 | 聞き手を意識し、問いかけなどで客席を巻き込む |
6年生にとっては小学校最後の発表会です。6年間で学んだことや下級生へのメッセージを、群読や呼びかけの形にまとめる学校も多くあります。1年生は「はじめての発表会」なので、入学してからできるようになったことを見せる構成にすると、保護者にも成長が伝わります。
本番から逆算する準備スケジュール(6週間モデル)
学習発表会の準備は、本番の日から逆算して計画します。目安として、6週間前から動き出すモデルを紹介します。
学習発表会の準備スケジュール(6週間モデル)
本番から逆算して、1週間前に完成させるのがコツです
いちばんのポイントは、本番1週間前に完成させることです。元公立教員の松下ゆか理さんは、インフルエンザなどで休む子が出ても対応できるよう、1週間前の完成を目指した逆算スケジュールを勧めています。最後の1週間に余裕があれば、代役の調整や、ほかの学年との合同リハーサルも落ち着いて行えます。
先生たちの実践例5選
公開されている実践の中から、すぐにまねしやすいものを5つ紹介します。
実践1|台本をなくし、子どもがセリフをつくる劇(6年生)
東洋館出版社の教師ブログで、神奈川県の小学校教員・高橋優先生が紹介している実践です。国語の「海の命」を題材に劇をつくる際、教師は登場人物と場面の要点だけを示し、セリフや動き、追加の登場人物は子どもたちが考えます。
練習は「グループ練習 → 通し練習(教師が合格・不合格を判定)→ 再練習」のくり返しです。合格の基準をはっきり示し、「ここまでできるようになったね」と伸びを認めることで、子どもの工夫がどんどん加速していくといいます。
最初から台本を配らず、「この場面で、見ている人に伝えたいことは何?」と問いかけるところから始めます。
実践2|総合の学びを発表し、下級生が歌で応える(1〜4年生)
大阪府守口市のさつき学園では、1〜4年生の総合学習発表会で、4年生が環境(水とごみ)について学んだことを発表しました。それを聞いた1〜3年生がお礼の気持ちとして合唱で応え、最後は全員で校歌を歌って締めくくる構成です。
発表する側と聞く側の両方に役割があるので、低学年も「聞くこと」を学習として位置づけられます。上級生にとっては、「下級生にもわかるように伝える」という明確な相手意識が生まれます。
実践3|教科ごとのチームで、得意な分野から出番をつくる
保護者として学習発表会を見た矢野貴明さんは、呼びかけとスライドを組み合わせたプレゼン、劇、教科ごとのチームでの発表などが組み合わされていたことを紹介しています。テーマは水の役割、オリンピック・パラリンピック、防災・減災など、各学年の学習内容です。
矢野さんは、学芸会では演技が上手な子が目立ちがちだったのに対し、学習発表会では得意な分野を選べて出番が分散していた、と振り返っています。チームを子どもが選べるようにすると、劇が苦手な子も自分の力を出せる場が生まれます。
実践4|準備から片付けまで「自分たちで」(全学年)
沖縄県宜野湾市のはごろも小学校では、「自分たちのことは自分たちで」という方針のもと、子どもたちが準備・進行・片付けまでを担いました。保護者から寄せられた多くの感想では、短い練習期間での完成度や、子どもたちが自分で動く姿に驚いたという声が目立ちます。
司会、照明、幕の開け閉め、会場案内なども立派な役割です。舞台に立つ時間だけでなく、運営そのものを学習の場にすると、全員の出番を自然につくれます。
実践5|1人1台端末で撮って、教え合う
先ほどの松下ゆか理さんは、出し物のダンス練習で1人1台端末を使い、得意な子が教える側に回る体制をつくった例を紹介しています。動画で自分の動きを確かめられるので、教師が全員を一度に見る必要がなくなり、練習の効率が上がります。
あわせて、ほかの学年と演目や曲が重ならないよう早めに確認しておくこと、出し物の内容を本番まで他学年の子に知られないよう配慮することも勧めています。

練習を「詰め込み」にしない指導のコツ
役決めでもめないために
- 役の数と、それぞれの出番の量を先に黒板に示す
- 「希望を出す → 話し合う → 決まらなければくじ」など、決め方を最初にクラスで合意しておく
- 主役は場面ごとに交代し、複数人で分ける
- ナレーターや道具係、司会も「なくてはならない役」として価値づける
緊張しやすい子・人前が苦手な子への配慮
一人で話す場面を「グループで声をそろえて言う」に置き換えられるなど、出番の形に選択肢をつくっておくと安心して参加できます。特別な支援が必要な子については、保護者や特別支援コーディネーターと、早めに出番の形を相談しておきましょう。
そのまま使える声かけ例
本番当日と、振り返りで学びを残す
当日は、出番の前に深呼吸や笑顔の確認など、短いルーティンを決めておくと子どもが落ち着きます。失敗してしまった子には、まず「最後まで続けたこと」を認める言葉をかけましょう。
学習発表会を「行事」で終わらせず「学習」にするかどうかは、本番後の振り返りで決まります。次の観点で書かせると、一人ひとりの成長がはっきり見えてきます。
- 自分のめあては達成できたか、それはなぜか
- 友達の発表や頑張りで、よかったところ
- 見てくれた人に、何が伝わったと思うか
- 次の学習や行事でやってみたいこと
よくある質問
Q. 学習発表会とは何ですか?
A. 子どもたちがふだんの授業で学んだことを、保護者や地域の人、ほかの学年に向けて発表する学校行事です。学習指導要領では特別活動の学校行事のうち「文化的行事」にあたります。
Q. 学芸会と学習発表会の違いは何ですか?
A. 学芸会は舞台で見せるための劇や合奏を特別な練習でつくり上げるのが中心でしたが、学習発表会はふだんの学習の成果を見せることを重視します。発表の形も、劇に限らずプレゼンや群読、展示などさまざまです。
Q. 学習発表会の言い換えにはどんなものがありますか?
A. 学校によって「学芸会」「学びの発表会」「学習成果発表会」「ふれあい発表会」「文化祭」などと呼ばれます。
Q. 学習発表会に使えるアイデアはありますか?
A. 低学年は音読劇や群読、中学年は調べ学習のクイズ発表やペープサート、高学年はスライドを使ったプレゼンや合唱と映像の組み合わせがおすすめです。授業で学んだ内容を出発点にすると、練習時間を抑えられます。
Q. 練習時間はどのくらい必要ですか?
A. 学校ごとに使える時数の目安を決めていることが多いので、まずは学校の方針を確認しましょう。授業の延長として取り組めば、行事のための特別な練習は短くて済みます。
Q. 学習発表会は廃止されているのですか?
A. 働き方改革やコロナ禍をきっかけに見直した学校は多いですが、廃止よりも、平日開催や学年ごとの実施、展覧会と交互に行うなど、形を変えて続けている学校が多いのが実情です。
授業てらすは、全国の小学校教員が実践を学び合うオンラインコミュニティです
学習発表会の出し物づくりも、ふだんの授業づくりも、一人で抱え込む必要はありません。全国の先生の実践にふれながら、授業力を一緒に磨いていきませんか。
