「説明文の授業が、段落分けと要約の作業になってしまう」「筆者の工夫と言われても、どこを見ればいいかわからない」「物語文に比べて、子どもが楽しそうじゃない」。説明文の授業づくりで、こんな悩みを抱える先生は少なくありません。
この記事では、小学校国語の説明文の教材研究の仕方を、明日から使える7つのステップに整理しました。説明文の4つの型、学年ごとに見るポイント、教材研究メモの記入例、先生たちの実践もあわせて紹介します。

- 説明文の教材研究と、物語文の教材研究の違い
- 説明文の教材研究の7ステップ
- 説明文の4つの型(頭括型・尾括型・双括型・時系列型)
- 低・中・高学年で、説明文のどこに注目すればよいか
- 教材研究メモ(「こまを楽しむ」の記入例つき)と、先生たちの実践例3つ
この記事は、全国の小学校教員が実践を学び合うオンラインコミュニティ「授業てらす」が、公開されている先生や教育機関の実践をもとに編集しています(2026年10月時点)。
説明文の教材研究とは?物語文との違い
教材研究の基本は、物語文も説明文も同じです。教師が一人の読者として読み、この教材でつける力を決め、発問や活動を考えます。
違うのは、読むときに注目するところです。物語文は中心人物の変容や主題を読みますが、説明文は文章の組み立てと、筆者が読み手に伝えるための工夫を読みます。
物語文と説明文の教材研究の違い
読む「ものさし」が変わります
| 物語文 | 説明文 | |
|---|---|---|
| 読むもの | 人物の行動や気持ちの変化 | 事柄や考えと、その伝え方 |
| 組み立て | 設定・山場・結末 | はじめ・なか・おわり |
| 注目するところ | 中心人物の変容 | 問いと答え、事例の数と順序 |
| いちばん大事なこと | 主題 | 筆者の主張(要旨) |
| 表現の工夫 | 情景描写・比喩・語り手 | 接続語・文末表現・図表 |
物語文の教材研究の進め方は、物語文の教材研究の仕方|小学校国語で使える7ステップと先生たちの実践例で詳しく紹介しています。
説明文の教材研究の仕方7ステップ
ここからは、実際の進め方を7つのステップで紹介します。1〜6で文章の中身と組み立てをつかみ、7で授業の形にします。
説明文の教材研究 7つのステップ
1〜6で中身と組み立てをつかみ、7で授業の形にします
ステップ1|題名と初読から「問い」を持つ
題名から内容を予想し、全文を読んで「知らなかった」「もっと知りたい」と思ったことをメモします。子どもの目(どこがわかりにくいか)と筆者の目(なぜこう書いたか)の両方で読むのがコツです。
ステップ2|段落に番号をふる
形式段落に①②③と番号をふり、段落の数と長さから全体像をつかみます。本文のデータに番号を入れておくと、そのまま板書やワークシートにも使えます。
ステップ3|「はじめ・なか・おわり」に分ける
話題や問いの「はじめ」、事例の「なか」、まとめや筆者の考えの「おわり」に分けます。分け方に迷った段落は、授業で子どもと話し合う価値のあるところです。
ステップ4|問いと答え、話題とまとめを結ぶ
「はじめ」の問いや話題に線を引き、対応する答えやまとめを探します。問いと答えがつながると、文章の骨組みがはっきりします。
ステップ5|事例の数・順序・役割を調べる
事例がいくつあり、どんな順番で並んでいるかを確かめます。とくに「なぜこの順番なのか」と、図や写真がどの事例を補っているかに、筆者の工夫が表れます。
ステップ6|筆者の主張と論の進め方をとらえる
筆者のいちばん言いたいこと(要旨)を自分の言葉でまとめ、接続語、文末表現、対比、数字の使い方などの工夫を探します。
ステップ7|指導事項と結びつけて、発問・活動を決める
学習指導要領の指導事項から「この教材でつける力」を一つにしぼり、中心発問と学習活動を決めます。指導書は、ここで自分の読みと比べるために開きます。
説明文の4つの型を知っておく
国語授業の実践者として知られる青木伸生先生は、日本標準の国語授業講座で、説明文を「筆者のいちばん言いたいことがどこにあるか」で4つの型に分けて紹介しています。型がわかると、ステップ3・6の見通しが立ちやすくなります。
説明文の4つの型
筆者のいちばん言いたいことが、どこにあるか(青木伸生先生の分類)
学年別に注目したいポイント
学習指導要領の「読むこと(説明的な文章)」の指導事項をもとに、学年ごとに注目したいポイントを整理しました。
| 学年 | 内容をとらえる | 精査・解釈 | 教材研究で見るところ |
|---|---|---|---|
| 低学年 (1・2年) |
時間的な順序や事柄の順序などを考えながら、内容の大体を捉える | 文章の中の重要な語や文を考えて選び出す | 問いと答えの対応、順序を表す言葉(はじめに・つぎに など) |
| 中学年 (3・4年) |
段落相互の関係に着目しながら、考えとそれを支える理由や事例との関係などについて、叙述を基に捉える | 目的を意識して、中心となる語や文を見付けて要約する | 事例の数と順序、段落どうしのつながり、まとめの段落の役割 |
| 高学年 (5・6年) |
事実と感想、意見などとの関係を叙述を基に押さえ、文章全体の構成を捉えて要旨を把握する | 文章と図表などを結び付けるなどして必要な情報を見付けたり、論の進め方について考えたりする | 筆者の主張と事例の関係、図表の役割、論の進め方とその効果 |
※「内容をとらえる」「精査・解釈」の欄は、小学校学習指導要領(平成29年告示)国語の「C 読むこと」の指導事項をもとにしています。
教材研究メモ(記入例つき)
7つのステップで考えたことは、次の5項目だけメモしておけば十分です。下は3年生の「こまを楽しむ」での記入例です。読み方は一つではないので、ご自身の読みで書き換えて使ってください。
教材研究メモ(1枚にまとめる型)
記入例:「こまを楽しむ」(3年)※読みの一例です
| 型 | 尾括型。はじめ(問い)・なか(6つのこま)・おわり(まとめ) |
|---|---|
| 問い | どんなこまがあるのか、どんな楽しみ方ができるのか(2つの問い) |
| 事例 | 色がわりごま、鳴りごま、さか立ちごま、たたきごま、曲ごま、ずぐりの6つ。各段落のはじめの文で、そのこまの楽しみ方を述べている |
| つける力 | 段落どうしの関係に着目し、中心となる語や文を見付けて要約する |
| 中心発問 | 6つのこまは、なぜこの順番で紹介されているのだろう |
先生たちの実践例3選
説明文の教材研究について、公開されている先生や教育機関の実践から、すぐにまねしやすいものを紹介します。
実践1|説明文の「3つの鉄則」で読む(白石範孝先生)
元筑波大学附属小学校の白石範孝先生は、東洋館出版社のサイトで、説明文の教材分析の「3つの鉄則」を紹介しています。①基本三部構成(話題・課題/事例・具体例/まとめ・主張・要旨)をとらえる、②話題・課題をとらえる、③まとめ・主張・要旨をとらえる、の3つです。事例は、筆者が伝えたいことを述べるための材料だと位置づけています。
事例を読む前に、まず「はじめ」と「おわり」だけを読み、筆者が何を伝えたいのかを先につかみます。
実践2|「9の視点」で教材を分析する(福島県の教員向け資料)
福島県が公開している説明的文章の授業づくりの資料では、教材研究の視点を9つに整理しています。
- 構造:始め・中・終わりに分ける/問いと答え、話題と結論をとらえる/「中」を事例や実験ごとに分ける
- 内容:事例に小見出しをつけて要約する/筆者の主張を要約する/全体の要旨をまとめる
- 論の進め方:学年に応じた論の進め方をとらえる/その工夫を生かして自分でも書く
- 考えの形成:筆者の主張に対する自分の考えをもつ
実践3|手順をくり返し、学年に合った活動へ(鳥取県・愛知県小牧市)
鳥取県西部教育局の資料では、①段落番号をつける、②「はじめ・中・終わり」に分ける、③筆者の主張を見つける、④問いと答えを対応させる、の4つの手順を、短い教材を使って帯時間でくり返し練習する方法が紹介されています。具体例をかっこでくくると要点が残り、答えを見つけやすくなるという工夫もあります。
愛知県小牧市の研究報告では、低学年は「問いと答え」、中学年は段落の並べ替え、高学年は意味段落ごとの要約から要旨へ、と学年に応じて活動を変えています。教材研究の段階で「この教材ならどの活動が合うか」を考えておくと、授業の形がすぐに決まります。

授業につなげる発問づくりのコツ
- 順番を問う:「この事例は、なぜこの順番なのだろう」。入れ替えると筆者の工夫が見えてきます。
- なくしてみる:「この段落(図・写真)がなかったら困るかな」。段落や図表の役割に気づかせます。
- 筆者に質問する:高学年では、主張に納得できるかを話し合う入り口になります。
- 自分でも書いてみる:同じ型で短い説明文を書くと、学んだ工夫が書く力につながります。
忙しい先生のための時短のコツ
- 段落番号と「はじめ・なか・おわり」の線だけは、教材が配られたらすぐに書き込んでおく
- 同じ型の説明文を学年をこえて並べ、毎年使える「型のメモ」を作る(学年で分担・共有するとさらに楽に)
- 物語文と同じ形のメモにしておくと、1年分の国語の教材研究ノートとしてまとまる
よくある質問
Q. 物語文の教材研究とは何が違いますか?
A. 物語文は中心人物の変容や主題を読みますが、説明文は文章の組み立てと筆者の工夫を読みます。物語文の進め方は物語文の教材研究の仕方で紹介しています。
Q. 小学校の説明文には、どんな教材がありますか?
A. 教科書によって異なりますが、たとえば「じどう車くらべ」「どうぶつ園のじゅうい」「こまを楽しむ」「アップとルーズで伝える」「固有種が教えてくれること」などがよく知られています。お使いの教科書の目次で、学年ごとの説明文を確認してください。
Q. 「要約」と「要旨」はどう違いますか?
A. 要約は、文章や段落の内容を短くまとめたものです。要旨は、筆者がその文章でいちばん伝えたい考えの中心をまとめたものです。中学年では要約、高学年では要旨をとらえることが学習の中心になります。
Q. 説明文の授業を楽しくするには?
A. 教材研究で「知らなかった」「なぜ?」と感じたところを、子どもにも感じさせる発問から始めると、読む意欲が高まります。段落の並べ替えなど、手を動かす活動もおすすめです。
授業てらすは、全国の小学校教員が実践を学び合うオンラインコミュニティです
説明文の教材研究も、一人で悩む必要はありません。全国の先生の授業動画や教材研究にふれながら、国語の授業力を一緒に磨いていきませんか。
