5年生国語「見立てる」深い学びをうむ実践 愛知県小学校教諭小畑歩

見立てる(5年国語)の授業|「事例は何個?」で深い学びをつくる実践【動画】

見立てるの授業(5年国語)|「事例は何個?」で深い学びをつくる実践【動画つき】

執筆 小畑 歩夢(愛知県内公立小学校 教諭)

授業てらす|教員研修プラットフォーム 実践レポート

見立てるの授業で、子どもの読みを「深い学び」へと届かせるにはどうすればよいのでしょうか?
本記事では、5年国語の説明文「見立てる」の授業動画をもとに、「事例は何個?」という発問で子どもの考えがずれ、自分の考えを見直し深めていく過程を紹介します。説明文の深い学びを、子どもの振り返りの言葉とあわせて具体的に見ていきます。

そもそも「深い学び」とは、どんな子どもの姿か

「深い学び」という言葉が広まってから、ずいぶん時間が経ちました。けれども大切なのは、言葉の定義を確認することだけではありません。私たちは授業の中で、子どもの姿を通して深い学びを見取っていく必要があります。

これを国語の文脈に置き直すと、深い学びとは「言葉による見方・考え方を働かせ、対象への理解や自分の考えが深まる学び」と言えます。そのとき想定される子どもの姿は、自分の考えをもち、他者の考えと出会うことで、考えを見直したり広げたりする姿として現れてきます。

自分の考え 事例は10個かな 他者との出会い 30個!1個! 考えのずれ 深い学び 考えを見直す 考えを広げる
他者の考えとのずれが、自分の考えを見直し広げるきっかけになります。

【授業動画】5年国語「見立てる」の実践

ここでは、実際の授業を見てみましょう。5年生の説明文「見立てる」(言葉の意味が分かること)を使った実践です。文章と出会った子どもたちは、自然と事例に注目して読み始めます。そこで「事例は何個?」と問い、子どもの深い学びを見ていきます。

この授業動画でわかること
  • 5年国語「見立てる」で深い学びをつくる授業の進め方
  • 考えのずれを生む発問「事例は何個?」のねらい
  • 子どもが自分の考えを見直し、広げていく実際の姿

「事例は何個?」という発問が、考えのずれを生む

この実践の中心になるのが、「事例は何個?」という発問です。「見立てる」は、あやとりを事例にして説明している文章です。あやとりの形が「田んぼ」「かき根」などと呼ばれている、というように、かぎ付きで具体的な名前が10個ほど出てきます。

まず段落を初め・中・終わりで分け、中に事例が書かれていることが多いと確認します。そのうえで事例の定義をおさえ、「事例は何個ある?」と問いかけ、班で話し合いながら数えていきました。

なぜ「何個?」と問うのか
事例の数え方は、子どもによって変わります。だからこそ考えのずれが表に出やすい。そのずれが、対話と深い学びのきっかけになります。

実際、子どもの答えは大きくばらつきました。多い子は「30個もあるよ」と言い、別の子は「10個」、さらには「1個」と答える子も出てきます。このずれこそが、授業を動かす原動力になりました。

子どもの振り返りに見る、深い学びの瞬間

ある子は、2時間目の終わりにこう振り返っていました。

子ども私は事例は10個だと思います。30個も分からなくはないけど、名前が書かれていないので、まだ事例にできる条件を満たしていないと思うからです。

この時点では「10個」。かぎ付きで名前が挙げられているものを数えて、そう考えていました。ところが次の3時間目の終わりには、同じ子の振り返りが大きく変わります。

子ども事例は1つになりました。理由は、木と見て考えたからです。種を植えないと芽が出ないように、事例がないと、たくさんの細かい事例もないと思うからです。

一見、分かりにくい言葉です。しかしここには大きな気づきがあります。この子は、ある友達の「木」の比喩から考えを組み立て直したのです。あやとりという幹があり、そこから枝分かれするように事例が出て、さらに葉のように細かい名前が広がっている——そう捉えたとき、「木の全体を一つの事例として読みたい」という考えに至りました。

つまり、最初は葉っぱ(細かい名前)を1枚ずつ数えて「10個」と言っていた子が、今度は木全体を一つの事例として読むという見方に変わった。これは、他者の考えと出会い、自分の考えを見直し広げた瞬間です。まさに国語における深い学びの姿だと言えます。

考えが揺れて不安になる子への関わり方

考えがずれて揺れることは、深い学びの入り口です。とはいえ、「揺れている自分は、考えが定まっていないのではないか」と不安になる子もいます。この実践でも、振り返りに「私は迷っています」「すごく困っています」と書く子がいました。

揺れている子へのフィードバック
  • 迷いを価値づける:「迷えることは、とても大切だよ」と伝える。迷うのは、あっちかなこっちかなと考えている証拠。
  • 対話へ促す:「ほかの友達の考えを聞いてみると、分かることが増えるかもしれないね」と返す。
  • 立場の近い子・遠い子をつなぐ:困っている子同士で話させたり、「絶対こうだ」と言う子のそばで主張を聞かせたりする。

最終的に「私もそう思う」と誰かの考えに乗れたらいい。揺れることを否定せず、対話の中で自分の納得を見つけられるように関わっていきます。

見立てるの授業の流れ(2・3時間目)

この実践の中心、2時間目と3時間目の流れを整理します。

事例の定義を確認

初め・中・終わりに分け、中に事例があることと、事例の定義をおさえます。

「事例は何個?」

班で話し合いながら数えます。10個・30個・1個…と考えがずれます。

ずれを話し合う

3時間目、振り返りを紹介し合い、なぜその数なのかを話し合います。

事例と主張をつなぐ

事例は一つのものが土台になって広がる、と確認し読みを深めます。

時間 中心の活動 子どもの姿
2時間目 事例の定義を確認し「何個?」を考える 10個・30個など考えがばらつく
3時間目 振り返りを共有し、ずれを話し合う 「木」の比喩などで考えを見直す
まとめ 事例と主張の関係を確認する 一つの事例が土台になると気づく
明日からの一歩
説明文を読むとき、「事例は何個?」と問うてみる。
考えのずれが、子どもの深い学びの入り口になります。

よくある質問

Q. 5年国語「見立てる」の授業で、深い学びはどうつくるのですか?

A. 「事例は何個?」と問うことで、子ども同士の考えにずれが生まれます。そのずれをきっかけに話し合い、自分の考えを見直し広げていく過程が深い学びになります。

Q. 「事例は何個?」という発問には、どんなねらいがありますか?

A. 事例の数え方は子どもによって変わるため、考えのずれが表に出やすい発問です。ずれを話し合うことで、事例と主張の関係や文章の構成に目が向きます。

Q. 考えが揺れて不安になる子には、どう関わればよいですか?

A. 「迷えることはとても大切だよ」と価値づけます。そのうえで、ほかの友達の考えを聞くと分かることが増えると伝え、対話につなげます。

Q. 「見立てる」は何時間目を中心に扱うとよいですか?

A. 本実践では2時間目と3時間目を中心に、事例に着目して読む活動を行いました。2時間目で考えを出し合い、3時間目でずれを話し合って深めます。

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学習指導要領・教材の参考(外部リンク)

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