小数のわり算 指導案 4年|あまりの処理とわり進める筆算を1時間で考える本時の展開【PDFつき】

「小数のわり算で、あまりの小数点をどこにつけるか迷う子が多い」「わり進める筆算を、結局は教師が教えて終わってしまう」「教科書どおり2時間かけると、子どもに問いが生まれない」。4年生の算数を担当する先生から、よく聞く悩みです。

この記事では、宮崎県の小学校の先生(授業てらす会員)が実際に書いた4年「小数のかけ算とわり算」の指導案を紹介します。教科書では2時間に分かれている「あまりの処理」と「わり進める筆算」を、同じ13.8÷4という式で1時間につなげるのがこの授業の特徴です。指導案のPDFもダウンロードできます。

ノートのわり算の筆算を指さしながら話し合う4年生
この記事でわかること

  • この指導案の3つのポイント(同じ数値で、包含除から等分除へ)
  • 単元の目標と、授業者が大切にしている「数を構成する単位」の見方
  • 単元計画(全16時間)
  • 教科書の2時間を1時間にする理由と、本時の学習指導過程
  • 13.8÷4で出てくる4つの答えと、子どもの話し合い

この記事は、授業者の了解を得て、授業てらす会員の先生の指導案をもとに編集部が整理したものです(2026年10月時点)。板書のイメージは編集部が作成しました。

目次

この指導案の3つのポイント

1教科書の2時間を1時間で「あまりの処理」と「わり進める筆算」を、子どもの状態に合わせて1時間で扱います。2つの学習をつなげることで、子どもに「まだ分けられる」という問いが生まれます。
2同じ数値で包含除から等分除へ「4mずつ何本とれる?」(包含除)のあとに、同じ13.8mのテープで「4等分すると?」(等分除)を出します。包含除ではあまりが自然に出て、等分除ではあまりが出ることの不自然さに気づけます。
3あまりを0.2÷4にするあまりを、これまでにわり切った経験のある0.2÷4という数にしておきます。「0.2はまだ分けられる」と子どもが気づけるようにするための工夫です。

算数の教材研究の進め方は算数の教材研究の仕方、3年生の算数は分数 指導案(1mをこえる長さ)で紹介しています。

単元の目標

観点 目標
知識及び技能 乗数や除数が整数である場合の小数の乗法及び除法の計算の意味や仕方を理解し、計算することができる。
思考力、判断力、
表現力等
乗数や除数が整数である場合の小数の乗法及び除法の計算の意味や仕方について、整数を基にしたり、数の仕組みや計算のきまりを基にしたりして考えることができる。
学びに向かう力、
人間性等
乗数や除数が整数である場合の小数の乗法及び除法の計算について、整数や数の仕組み、計算のきまりを基にして考えることのよさに気付き、学習に生かそうとしている。

授業者が大切にしていること(指導観)

子どもは、0.2×3のような簡単な小数の計算を、2×3と見て感覚的に0.6と答えることが多くあります。けれども、「0.1が2×3個ある」と数を構成する単位に着目して説明することは、なかなかできません。この単元では、その見方・考え方を、くり返し表現させることを大切にしています。

段階 授業者の手立て
導入 小数×整数の計算の仕方について、「0を消して、答えに付け足す」のような子どもの発言を取り上げ、「0を消すとはどういうことか?」と問う。数を構成する単位に着目していることを見いださせ、筆算も整数と同じようにできることをとらえさせる。
展開 小数÷整数も「かけ算のときと同じように考えればよい」という発言を取り上げ、わり算でも数を構成する単位に着目すれば計算できることを見いださせる。
終末 小数倍について考え、数直線図などを使って、倍の考え方を小数にまで広げる。
子どもが表出する言葉を大切にし、子ども同士の考えをつなぎながら仲間と関わる場面を多く取り入れることが、単元を通した方針です。

単元計画(全16時間)

次 主な学習活動 時間
1 小数の乗法 (1) 1/10の位までの小数×1位数
(2) 1/100の位までの小数×1位数
(3) 小数の乗法の筆算
(4) 練習
5時間
(1・1・2・1)
2 小数の除法 (1) 小数の除法の計算の意味と仕方
(2) 商の位<被除数の位の計算の仕方
(3) 小数の除法の筆算 ※本時は(3)の4・5/6
(4) 練習
9時間
(1・1・6・1)
3 小数倍 (1) 小数倍の意味
(2) 単元のたしかめ
2時間
(1・1)

※評価は、発言とノートをもとに、各次で「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」を見ています。

本時の主張:なぜ2時間を1時間にするのか

教科書では、本時の内容は「あまりの処理」と「わり進める筆算」の2時間に分かれています。教科書の問題は、次のようなものです。

  • あまりの処理:13.6mのテープから、3mのテープは何本とれて、何mあまるか。
  • わり進める筆算:15.6mのロープを8等分すると、1本分は何mになるか。

授業者は、この2時間を1時間にする理由を次の2つにまとめています。

理由 授業者の考え
① あまりの「ずれ」は
すぐ解決しそう
13.6÷3=4あまり1.6で、筆算上は16と出ても、子どもは「16mはおかしい」「12mを引けば1.6m」と簡単に解決するのではないか。それだけに1時間かけるのはもったいない。
② わり進める必然性が
生まれにくい
15.6÷8=1.9あまり0.4で、前の時間まであまりを出していた子どもにとって、さらに分けられるという発想は出にくい。「まだ割れるときは、割り進めることができるんだよ」と教師が言ってしまいそうになる。

そこで、同じ数値(13.8m)で包含除と等分除の場面を続けて出し、包含除ではあまりの必然性を、等分除ではあまりの不自然さに着目できるようにしています。あまりは0.2÷4という、これまでにわり切った経験のある数にしています。

授業者のことば
あくまでも子どもの姿に期待を込めている。子どもの状態によっては、潔く2時間扱いにすることをあらかじめ断っておく。

本時の指導案(小数のわり算・あまりの処理とわり進める筆算)

  • 本時の目標:小数のわり算のあまりの処理の仕方を理解するとともに、まだわり切れる時にはわり進めることを理解することができる。(思考・判断・表現)
  • 学習問題:13.8mのテープがあります。
  • 問題①(包含除):このテープから4mのテープは何本とれて何mあまりますか。
  • 問題②(等分除):このテープを4等分します。1本分の長さは何mになりますか。

問題①で予想される4つの答え

13.8÷4 を計算すると、答えが分かれます

3あまり18 筆算で出た数をそのまま書いている
「あまり18はもともとより長いよ」
3あまり1.8 何本とれるかを整数で考え、あまりの小数点をもとの位置にそろえている(正答)
「4mを3本とったら12m。13.8mから引いたら1.8m」
3.4あまり2 商を小数第1位まで出し、あまりに小数点をつけ忘れている
「『何本とれて』だから小数になるのはおかしいよ」
3.4あまり0.2 商を小数第1位まで出している(何本とれるかの問題では誤り)
問題②で「0.2はまだ分けられる」につながる大切な誤答
答えの割合や分布を見て、1時間扱いか2時間扱いかを判断する
学習活動 予想される子どもの反応 指導上の留意点
1 本時問題と出合う 「13.8mのテープがあります」
「そろそろあまりが出るかな?」
「あまりが出る問題になったね」
問題を途中まで示し、どのような場面になるかを自由に想像させる。子どもの発言をもとに場面を設定し、出ない場合は教師が問題を板書する。
2 問題①を解決する 計算の結果を確認する(3あまり18、3あまり1.8、3.4あまり2、3.4あまり0.2)。
本時の問い:答えはどれなの?
答えの割合や分布によって、2時間扱いにするか1時間扱いにするかを判断する。まず商を検討し、そのあとにあまりを検討する。子どもの議論の中心を見きわめながら、弾力的に判断する。
問いの解決 「『何本とれて』だから小数になるのはおかしいよ」
「あまり18はもともとより長いよ」
「4mを3本とったら12m。13.8mから引いたら1.8mあまるんじゃない?」
→ 3本とれて1.8mあまる。
答えを確認するだけでなく、筆算に立ち戻り、あまりをどう処理するかを確認させる。
3 問題②と出合う 「同じ式だけど、あまりが出る?」
「さっき答えを出したんじゃない?」
本時の新たな問い:子ども次第で設定する
直前の問題で「3.4あまり0.2」という誤答が出ていれば面白い場面になる。子どもが困っていることを引き出し、それを問いにする。
期待する子どもの反応 「0.2は、まだ分けられるんだけど、筆算には続きがないんだよね」
「0.2の計算では、2じゃなくて20で考えたんでしょ?それって後ろに0を付け足してるんじゃない?」
これに近い発言を大切にして授業を進める。
わり進める筆算の仕方 わり算では、0をつけたして計算を続けることができる。
13.8÷4=3.45
ここは教師主導で教えたい部分。0.2÷4の場面をふり返り、過去にも0を付け足していたこととつなげる。図を使って理解させる場面にもなる。
4 本時をふり返る 分かったこと、仲間のよさを書く。 「時間を巻き戻すよ」と言って板書をふり返らせ、思考の流れを確認するとともに、仲間のよさを価値づける。

本時の評価規準:あまりの処理の仕方や、わり進める筆算の仕方を仲間に伝えることができている。(発言)【知識・技能】

板書のイメージ(編集部作成)

13.8m の テープが あります。
問題① 4mずつ
  • 3あまり18
  • 3あまり1.8
  • 3.4あまり2
  • 3.4あまり0.2
答えは どれなの?
どうして 1.8?
4m×3本=12m
13.8−12=1.8
3本とれて 1.8m あまる
問題② 4等分
  • 同じ式なのに?
  • 0.2は まだ 分けられる
  • 0を つけたして 続ける
  • 13.8÷4=3.45
わり進める ことが できる

左から右へ、問題①の答えの検討、あまりの処理、問題②のわり進める筆算と、1時間の思考の流れが見えるように書きます。最後に「時間を巻き戻すよ」と板書をたどると、子どもが自分たちの考えの変化をふり返れます。

黒板の前で手をあげた子どもを指名する先生と4年生の子どもたち

この授業から学べること

1教科書の時数を子どもに合わせて組みかえる2時間扱いのところを1時間にするのは、子どもに問いを生むためです。ねらいがはっきりしていれば、時数の組みかえは授業を深くします。
2同じ数値で場面だけを変える数値を変えずに包含除から等分除へ移ると、子どもは「同じ式なのに、何がちがうの?」と場面のちがいに目を向けます。
3誤答を次の問いの種にする「3.4あまり0.2」という誤答が、問題②で「0.2はまだ分けられる」という気づきにつながります。誤答を予想して授業を組み立てています。
4教えるところははっきり教える「0をつけたして計算を続ける」ところは教師主導で教えると割り切っています。子どもに考えさせる場面と教える場面を分けることで、1時間の授業に無理がなくなります。

指導案(PDF)のダウンロード

授業てらす会員の先生が書いた指導案の全文(A4・4ページ)です。学習指導過程の表や、本時の主張を、そのままの形で読めます。

指導案をダウンロード(PDF・A4・4ページ)

※授業者の了解を得て掲載しています。校内研修などでご活用ください。

よくある質問

Q. 小数のわり算で、あまりの小数点はどこにつけますか?

A. あまりの小数点は、わられる数(もとの数)の小数点の位置にそろえてつけます。13.8÷4なら、あまりは18ではなく1.8です。「4mを3本とったら12m、13.8mから12mを引くと1.8m」と、場面に戻って確かめさせると、子どもが納得しやすくなります。

Q. 包含除と等分除のちがいは何ですか?

A. 包含除は「4mずつ分けると何本とれるか」のように、1つ分の大きさが決まっていていくつ分かを求めるわり算です。等分除は「4等分すると1本分は何mか」のように、いくつに分けるかが決まっていて1つ分を求めるわり算です。同じ13.8÷4でも、場面によってあまりの意味が変わります。

Q. わり進める筆算は、どう教えればいいですか?

A. この指導案では、「0.2はまだ分けられる」という子どもの気づきを引き出したうえで、「0をつけたして計算を続ける」方法は教師が教えています。そのとき、0.2÷4を20÷4と考えたように、これまでにも0を付け足していたことと結びつけるのがポイントです。

Q. 1時間で終わらないときは、どうすればいいですか?

A. 授業者は、問題①の答えの割合や分布を見て、2時間扱いにするかどうかを判断するとしています。あまりの処理で子どもが本気で悩んでいるなら、そこに1時間をかけ、わり進める筆算は次の時間にまわしましょう。

参考にした情報

授業てらすの授業の様子
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