じしゃくのふしぎ 指導案 3年理科|「アルミ缶はつく?」から考える本時の発問・板書・ワークシート

「磁石の単元の指導案を書かなくちゃいけない」「『磁石につくもの調べ』が、ただの物集めで終わってしまう」「金属なら何でもつくと思っている子が多い」。3年生の理科を担当する先生から、よく聞く悩みです。

この記事では、3年理科の単元「じしゃくのふしぎ」(磁石の性質)から、磁石に引きつけられる物を調べる時間の指導案を、子どもが主体的に話し合う授業を軸にまとめました。教材研究のポイント、単元計画、本時の展開と板書例、そのまま使えるワークシート、先生たちの実践を紹介します。

磁石をクリップや空き缶、アルミホイルに近づけて調べる3年生の男の子と女の子
この記事でわかること

  • 「金属なら磁石につく」という思いこみを、問いに変える教材研究のポイント
  • 単元の目標と評価規準
  • 単元計画(全10時間)
  • 本時(磁石に引きつけられる物)の指導案と板書例、ワークシート
  • 3年生が主体的に話し合う5つの工夫と、先生たちの実践例

この記事は、全国の小学校教員が実践を学び合うオンラインコミュニティ「授業てらす」が、公開されている指導案や先生たちの実践をもとに編集しています(2026年10月時点)。

目次

じしゃくの単元の教材研究

3年生の子どもは、磁石を「金属をくっつけるもの」と思っていることが多いです。直前の単元「電気の通り道」で金属は電気を通すと学んでいるため、「電気を通す物=金属=磁石につく」と考える子も少なくありません。この思いこみこそが、本時の話し合いのきっかけになります。

磁石につく? つかない?

「電気を通す」と「磁石につく」はちがう

スチール缶 つく(鉄でできている)
ポイント:同じ「空き缶」でも、つく缶とつかない缶がある
アルミ缶 つかない(アルミニウム)
ポイント:電気は通すのに、磁石にはつかない。いちばん話し合いが生まれる
10円玉 つかない(銅)
ポイント:「お金は金属だからつく」という予想がくずれる
はさみ 刃はつく、持ち手はつかない
ポイント:1つの物でも、場所によって材料がちがう
話し合いの軸は「アルミ缶は、つく? つかない?」

大切なのは、物の名前ではなく何でできているか(材料)に目を向けさせることです。「空き缶はつく」とまとめてしまうと、アルミ缶でつまずきます。同じ空き缶でも材料がちがうことに気づくと、「磁石につくのは鉄」という結論に子ども自身がたどり着けます。

算数の指導案は小学校算数 指導案一覧、教材研究の進め方は算数の教材研究の仕方でも紹介しています。

単元の目標と評価規準

学習指導要領(第3学年「A 物質・エネルギー」(4) 磁石の性質)の内容をもとに、目標と評価規準を次のように設定します。

観点 評価規準(例)
知識・技能 磁石に引きつけられる物と引きつけられない物があること、磁石に近づけると磁石になる物があること、磁石の異極は引き合い同極は退け合うことを理解している。器具を正しく扱いながら調べ、結果を記録している。
思考・判断・表現 磁石を身の回りの物に近づけたときの様子について、差異点や共通点をもとに問題を見いだし、表現している。
主体的に学習に
取り組む態度
磁石の性質について進んで調べ、学んだことを生活に生かそうとしている。

※学習指導要領 理科 第3学年「A 物質・エネルギー」(4) をもとにした例です。

単元計画(全10時間)

公開されている指導案では、磁石の単元を全8〜10時間で計画している例が見られます。ここでは、全10時間の例を紹介します。時数は学校の年間指導計画と指導書で確認してください。

時 主な学習活動 子どもが話す工夫
1時 磁石つりやアルミ缶・スチール缶の仕分けをして、気づいたことから問題をつくる 「どうして片方だけつくの?」を出し合う
2時
(本時)
どんな物が磁石に引きつけられるかを調べる 「アルミ缶は、つく?つかない?」の予想から話し合う
3・4時 磁石と鉄のあいだをあけても引きつけるかを調べる 下じきや段ボールの枚数で、きょりを変えて比べる
5・6時 磁石の極どうしを近づけたときの様子を調べる N極とS極、同じ極どうしの結果をくらべて話す
7・8時 磁石につけた鉄のくぎが磁石になるかを調べる クリップや方位磁針で確かめる方法を話し合う
9・10時 磁石の性質を使ったおもちゃを作り、紹介し合う 「どの性質を使ったか」を説明する
1時で「同じ空き缶なのに、つく缶とつかない缶がある」体験をしておくと、本時の「何でできているか」という見方が自然に出てきます。

本時の指導案(磁石につく物)

本時は、身の回りの物が磁石に引きつけられるかを調べる時間です。実験の前に「アルミ缶は、つく? つかない?」と予想させ、電気の通り道で学んだことと結びつけて話し合います。結果を教えるより、「磁石につくのは鉄」という決まりに子ども自身が気づくことを大切にします。

  • 本時の目標:身の回りの物の材料に着目して、磁石に引きつけられる物と引きつけられない物を調べ、磁石に引きつけられるのは鉄であることを理解する。
  • めあて(子どもの言葉で):どんな物が、じしゃくにつくのか調べよう。
  • 調べる物の例:スチール缶、アルミ缶、10円玉、クリップ、アルミホイル、はさみ、鉄くぎ、スプーン(ステンレス)、わりばし、消しゴム、ガラスのビーカー
段階 学習活動と主な発問 予想される子どもの反応 留意点・話す工夫
導入
(7分)
①前の時間の、つく缶とつかない缶をふり返る。
②めあてを確かめる。
「同じ空き缶なのに、ちがった」「ほかの物も調べたい」 電気の通り道で使った物を、もう一度机に並べておく。
展開1
(13分)
③調べる物が、つくかつかないかを予想する。
発問:アルミ缶は、つく? つかない?
「金属だからつく」「電気を通したからつく」「前の時間、つかない缶があったよ」 ネームプレートで立場を黒板に表す。予想の理由を「電気の通り道」と結びつけて言わせる。
展開2
(17分)
④1人1つの磁石で調べ、結果を表に記録する。
⑤グループで結果をくらべる。
発問:ついた物に共通していることは?
「アルミ缶と10円玉はつかなかった」「ついたのは全部、鉄だ」「はさみは刃だけついた」 結果が班でちがう物は、もう一度全員で確かめる。物の名前ではなく、材料を書く欄をワークシートに設ける。
まとめ
(8分)
⑥分かったことをまとめる。
⑦教室の中で、つきそうな物を予想する。
⑧ふり返りを書く。
「磁石につくのは鉄」「金属でも、つかない物がある」「電気を通す物と、磁石につく物はちがう」 まとめは子どもの言葉で書く。磁石は電子機器やカードに近づけないことを約束する。

板書の例

どんな物が、じしゃくにつくのか調べよう
よそう
  • 金ぞくは つく
  • 電気を通す物は つく
  • 前の時間 つかない缶が あった
アルミ缶は つく?
けっか
つく:スチール缶・クリップ・くぎ
⇔
つかない:アルミ缶・10円玉
(ネームプレート・実物を貼る)
わかったこと
  • ついたのは 鉄
  • 金ぞくでも つかない物がある
  • はさみは 刃だけ つく
じしゃくに つくのは 鉄

板書では、左に予想、真ん中に結果、右に分かったことを書きます。結果は「つく」「つかない」に分けて実物や写真を貼り、その下に材料を書きこむと、「鉄」という共通点が目で見て分かります。

ワークシート

本時で使えるワークシートです。予想と結果を書く表、材料を書く欄、まとめとふり返りの欄があります。印刷してそのまま使えます(A4)。

3年理科じしゃくのワークシート。アルミ缶はつくかつかないかを選ぶ欄、調べる物の予想と結果の表、わかったこと、ふり返りの欄がある

ワークシートを開く(A4・印刷用)

3年生が主体的に話し合う5つの工夫

1予想で立場を決める「アルミ缶は、つく?つかない?」と立場を選ぶと、全員が結果を確かめたくなります。
2前の単元とつなげる「電気を通したから、つくと思う」という理由を大切にすると、結果とのずれが話し合いになります。
3磁石を1人1つ自分の手で確かめられると、待っている時間がなくなり、何度でも試せます。
4材料に目を向けるワークシートに「何でできている?」の欄をつくると、物の名前ではなく材料でくらべられます。
5結果のちがいを問いにする班で結果がちがったら「どうしてちがうの?」と問い、もう一度確かめると、考えが深まります。
使える話型
「わたしは、〜はつくと思います。わけは、〜だからです。」
「〇〇さんの予想とちがって、〜はつきませんでした。」

つまずきやすいポイントと手立て

つまずき 手立て
金属なら何でもつくと考える アルミ缶・10円玉・アルミホイルを必ず調べる物に入れ、予想と結果のずれから考えさせる。
電気を通す物と、磁石につく物を同じだと考える 電気の通り道の結果表と並べて、ちがう物を見つけさせる。
物の名前でまとめてしまう(「空き缶はつく」) スチール缶とアルミ缶を並べ、「何でできているか」を書く欄で材料に目を向けさせる。
色や塗装で見分けがつかない 塗装された缶やクリップも用意し、表面ではなく中の材料で決まることを確かめる。

磁石はパソコンやタブレット、カード類に近づけると故障の原因になります。実験の前に、近づけてはいけない物を全員で確かめておきましょう。

先生たちの実践例

実践1|素材のちがう身近な物で調べる(東京都墨田区の小学校)

墨田区立第一寺島小学校の矢野雄太先生の指導案(大日本図書)では、単元のはじめに5種類の釣り竿で磁石つりをして、気づきから学級の問題をつくっています。本時では、ねじ、10円玉、アルミホイル、空き缶、はさみなど素材のちがう身近な物を用意し、磁石を1人1つ持たせて調べています。子どもの「電気を通す物が引きつけられる」という予想が、アルミニウムが引きつけられない結果で揺らぐことをねらった展開です。班の結果をタブレットで並べ、結果がちがうときは「なぜちがうのか」と問い、もう一度実験させています。

まねするなら
調べる物に、前の単元「電気の通り道」で使った物をそのまま入れてみましょう。「電気を通したのに、つかない!」という声が、話し合いのきっかけになります。

実践2|アルミ缶とスチール缶を仕分ける導入(宮城県総合教育センター)

宮城県総合教育センターの授業案では、形や大きさのちがうアルミ缶とスチール缶をかごに混ぜて入れ、磁石で取り出す活動から単元を始めています。「つく缶とつかない缶がある」「缶にスチール・アルミと書いてある」といった気づきから、「金属はどれも磁石につくのだろうか」という問題につなげています。

黒板の前に立つ先生と、手を挙げる3年生の子どもたち

よくある質問

Q. 磁石の単元は何時間扱いが多いですか?

A. 公開されている指導案では、全8〜10時間で計画している例が見られます。おもちゃ作りを入れるかどうかで時数が変わるので、学校の年間指導計画と指導書で確認してください。

Q. ステンレスのスプーンは、磁石につきますか?

A. ステンレスは種類によって、つく物とつかない物があります。授業で使う前に、必ず先生が確かめておきましょう。結果があいまいな物は、本時の調べる物からは外しておくと混乱しません。

Q. 1円玉や10円玉を使ってもいいですか?

A. 1円玉(アルミニウム)や10円玉(銅など)は「金属なのにつかない」ことを確かめるのに役立ちます。学校の方針に合わせて、紛失しないよう数を決めて配りましょう。

Q. 磁石を使うときに気をつけることは?

A. パソコンやタブレット、カード類、方位磁針に近づけると、こわれたり狂ったりすることがあります。強い磁石どうしで指をはさむこともあるので、使い方の約束を最初に確かめましょう。

参考にした情報

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