場面緘黙の児童への手立て「話せないから動けるへ」鳥取県小学校教諭 黒田陸


1. 「話せない」を「動ける」へ。

私が担任するクラスには、場面緘黙の児童がいます。当初、その児童は教室では誰とも話せず、交流学級の授業にも参加できない状態でした。教室に入れたとしても授業の参加は難しい日が多くありました。給食も来たり来なかったりと、不安定な日々が続いていました。


クラスのみんなも話しかけていましたが、返答が返ってくることは少なく、「クラスのみんなが、その子に話しかけるのを諦めかけている。その雰囲気が私は嫌だった」

そこで私が主に3つの手立てを講じました。

  1. 「おはよう」を届けるための、特別支援学級への訪問
    • 毎朝、児童が過ごす支援学級へ足を運び、信頼関係の構築に努めました。「今日の体育はこれをやるよ」と見通しを伝え、何気ない会話を積み重ねました。
  2. 動画による「見通し」の視覚化
    • 言葉での説明が難しい場面でも、跳び箱やボール運動の動画を活用することで、「何をすればいいか」を視覚的に提示。不安を取り除き、参加のハードルを下げました。
  3. 安心できるグルーピングの工夫
    • 少しずつ話せる児童が出てきたタイミングを見逃さず、体育のチームや学級生活で「安心できる友達」と一緒になれるよう配慮しました。

その結果、10月頃から大きな変容が現れます。授業への参加頻度が増え、給食も毎日通常学級でするように。今では友達と「戦いごっこ」をして遊ぶ姿が多く見られるようになったのです。


2. 今回の学び

まだまだ自分自身が主語が子どもではなく、主語が教員になってしまっていると痛感しました。自分がこうしたい、こうなってもらいたいなどの思い、志を持つことはとても大切とは思いますが、目の前の子どもたち自身はどんな自分になりたくて、どんなクラスにしたいのかを明確にしなければいけないと改めて痛感しました。

 この学びを受け私は早速今日、場面緘黙の児童に、みんなと話せるようになりたいのかを聞くと、話したいとは思わないが、話せていない理由を知って欲しいと言いました。私は驚きと感動と、自分の力のなさを感じました。私は本人が教室で元気いっぱい話したいとばかり思っていましたが、そうではなかったのだと気づきました。本人に、みんなにその想いを共有して良いか聞くと、良いと答えてくれたので、早速クラスのみんなに、その児童の想いを共有しました。するとみんなも目から鱗で、その後は、その子に対する関わりが大きく関わりました。教室に入ると「いらっしゃい」の声。あとは多く話しかけず、本人のその日の気持ちや体調面によって児童本人の納得のいく会話量に変わりました。その児童の思いをクラスのみんなもわかってくれて、学校がとても良い場所になったと児童本人も満足そうに話してくれました。

今回のプレゼンのおかげで、1人の児童の主体の約束がされました。本当にプレゼンをしてよかったです。


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