【国語】「子供同士を繋ぐ授業とは」千葉県小学校教諭 岡本哲樹 

子ども同士をつなぐ授業を実現したい——多くの先生が抱くこの願いとは裏腹に、教室では「ちゃんと座って一人ずつ発言」「一問一答式の発表会」になりがちです。しかし、千葉県小学校教諭・岡本哲樹先生は、自身の授業を振り返るなかで意識を大きく転換し、国語の実践で子ども同士をつなぐ授業へと一歩踏み出しました。

本記事では、岡本先生が「以前の自分」をどう見つめ直し、どんな問いかけで子どもをつないでいったのかを紹介します。さらに、対話を単なる「手段」で終わらせず、「なぜつなぐのか」を授業者自身が言語化することの大切さも解説します。明日の授業から取り入れられるヒントが詰まった内容です。

▲ 千葉県小学校教諭・岡本哲樹先生による「子どもをつなぐ授業意識」(授業てらす公式チャンネル)

岡本哲樹先生のプロフィール写真

岡本 哲樹 先生(千葉県 公立小学校 教諭)

「子どもと作り上げる授業」を理念に、国語を中心とした実践を重ねる教諭。自身の授業を映像で振り返り、教師主導の発表会型から子供同士をつなぐ授業へと意識転換した過程を、授業てらすで共有しています。

子ども同士をつなぐ授業を阻む「以前の壁」

子ども同士をつなぐ授業をしたい——岡本先生もまた、教員になった当初からそう願っていました。しかし、現実の教室は理想とはかけ離れていたと言います。「ちゃんと座って授業していればよい」「発言は一人ずつ」「一問一答式の学習」——こうした形式が当たり前のように繰り返されていたのです。

そこで岡本先生は、自分の授業を映像で振り返ってみました。すると、見えてきたのは衝撃的な事実でした。一人ずつ発言させ、他者との交流や意見の共有もなく、ただ「発表会」のように終わっている授業だったのです。

結果として、面白くない授業、発表しても何もない授業、大人も息苦しいそんな授業展開をしていた。教師も子どももお互いにマイナスだった。

— 岡本哲樹先生

つまり、理想と現実のギャップに気づくことが、子ども同士をつなぐ授業への第一歩なのです。ぜひ一度、ご自身の授業を録画して見直してみてはいかがでしょうか。

教師主導の発表会型授業が招く3つの落とし穴

岡本先生が気づいた「発表会型授業」には、見過ごせない弊害があります。一方で、これは多くの先生が無自覚に陥りがちなパターンでもあります。

⚠ 発表会型授業の3つの落とし穴

  • 落とし穴①面白くない:意見が点で終わり、子どもの思考が広がらない
  • 落とし穴②空虚さ:発表しても反応がなく、学びの実感が残らない
  • 落とし穴③息苦しさ:教師も子どもも緊張感だけが続き、エネルギーを消耗する

たとえば、一問一答式の授業では、子どもは「正解を当てるゲーム」をするだけになりがちです。なぜなら、自分の発言が他者の考えとつながらず、教師の評価だけが返ってくる構造だからです。だからこそ、子ども同士をつなぐ授業への転換が必要になってきます。

意識転換の起点:子どもの反応を見る

では、どこから変えればいいのでしょうか。岡本先生が最初に意識し始めたのは、シンプルですが本質的な2つの視点でした。

🌱 岡本先生が大切にした2つの視点

  • 視点A:子どもの反応を見る——発言だけでなく表情・うなずき・つぶやきを拾う
  • 視点B:子どもと子どもをつなぐ意識——教師が「橋渡し役」に回る

これら2つを意識するだけでも、授業の景色が変わり始めます。なぜなら、教師の視線が「正解を持つ自分」から「考えを生み出す子ども」へと移るからです。さらに、子どもも「先生に当てられる」ではなく「友達と考える」モードに入りやすくなります。

国語で対話を生む3つの問いかけ

岡本先生が国語の実践で使っている、子ども同士をつなぐ授業のための問いかけがあります。たとえば次のような声かけを取り入れるだけで、教室の対話量はぐっと増えます。

💬 子どもをつなぐ3つの問いかけ

  • 問いかけ①共有を促す:「〇〇さんの意見を周りの人と共有してごらん」
  • 問いかけ②理解を確認:「〇〇さんの言ったことわかる?」
  • 問いかけ③反応を引き出す:「今の意見、どう思った?」

こうした問いかけによって、子どもは少しずつ自分の考えや意見を友だちに話すようになってきます。さらに、「友達の意見を聞いて自分の考えはどう変わったか」を書く時間を設けると、対話が思考の深化につながります。

💡 国語ならではの活用ポイント

物語文では「登場人物の気持ちを友達はどう読んだか」、説明文では「友達の要約を聞いて自分はどこを変えるか」など、教材の特性を活かして問いかけを設計すると、子ども同士をつなぐ授業がより自然に成立します。

教師の介入から子どもの自然なつながりへ

ただし、ここで岡本先生は重要な気づきを共有しています。教師が「つなぎ役」として介入する段階から、さらに先へ進む必要があるというのです。

教師が介入してつながるのではなく、子どもが勝手につながるともっと主体的になる。その具体策をもっと考えたいと思えるようになった。

— 岡本哲樹先生

つまり、最終ゴールは「教師がいなくても子ども同士が学び合う教室」です。たとえば、子どもが自分から「〇〇さんの意見聞かせて」と言える教室は、まさに理想形と言えるでしょう。

段階教師の役割子どもの姿
第1段階一問一答で指名する正解を当てる発表
第2段階「○○さんの意見どう?」と橋渡しする促されてつながり始める
第3段階見守りながら必要時に支える自分から友達につながりにいく

このように段階を意識すれば、子ども同士をつなぐ授業は無理なく育っていきます。一方で、いきなり第3段階を狙うと子どもが戸惑うため、第2段階での粘り強い問いかけが土台になります。

「なぜつなぐのか」を言語化する重要性

岡本先生の動画の核心は、ここにあります。「子ども同士がつながって学ぶことは大切」——一般論としては誰もが知っていますが、その手段ばかりに目が行きがちになっていないか、という問いです。

しかし本当に大切なのは、「なぜ子ども同士でつながり、学ぶことが大切なのか」を授業者自身が言語化することだと岡本先生は語ります。なぜなら、目的が明確になることで、対話が単なる活動ではなく深い学びへと変わるからです。

🔑 授業者が言語化すべき問い

「なぜこの教材で子どもをつなぐのか?」「対話を通して何を獲得させたいのか?」「つながった結果、子どもにどんな変容を期待するのか?」——これらの問いに自分の言葉で答えられたとき、子ども同士をつなぐ授業は真の意味で成立します。

たとえば「物語の登場人物の心情を多面的に捉えるため」と言語化できれば、対話は鑑賞の深化につながります。一方で「説明文の論理構成を批判的に検討するため」と定義すれば、対話は読解力の鍛錬になります。つまり、目的の言語化が手段の質を決めるのです。

明日からできる実践ステップまとめ

ここまで紹介してきた子ども同士をつなぐ授業の作り方を、実践ステップとして整理します。しかも、特別な準備は必要ありません。

  • 1Step1:自分の授業を録画して振り返る——発表会型になっていないか確認
  • 2Step2:子どもの反応(表情・つぶやき)を意識的に拾う
  • 3Step3:「共有」「理解確認」「反応引き出し」の3つの問いかけを使う
  • 4Step4:「なぜつなぐのか」を授業前にノートに書き出す
  • 5Step5:教師の介入を徐々に減らし、子ども主体のつながりを育てる

そして何より重要なのは、自問自答を続ける姿勢です。岡本先生自身も「これからも授業てらすで学び続け、自問自答を繰り返し、この『なぜ』をみつけられるように励んでいきたい」と語っています。子ども同士をつなぐ授業は、教師自身の学び続ける姿勢から生まれるのです。

まとめ:子ども同士をつなぐ授業は教師の問い直しから

本記事では、千葉県小学校教諭・岡本哲樹先生の実践から、子ども同士をつなぐ授業を実現するためのプロセスを紹介しました。さらに、3つの問いかけや段階的な教師の関わり方も具体的に示しました。

つまり、対話を「手段」で終わらせず、「なぜつなぐのか」という目的を授業者が言語化することが鍵です。なぜなら、目的が明確な対話だけが、子どもの深い学びを生むからです。ぜひ明日の国語授業から、まずは録画と1つの問いかけから始めてみませんか。

授業てらすで対話的な国語授業をもっと学ぶ

授業てらすでは、子ども同士をつなぐ授業をテーマにした実践動画や教員研修を多数アーカイブしています。さらに、月例セミナーや実践共有会では、明日から使える具体策を学べます。

▶ 授業てらす 公式サイトを見る

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