【2年生・体育】「クロスボーナスゲーム」子供が対話したくなる体育授業 東京都小学校教諭 河田なおや


「クロスボーナスゲーム」(2年体育)は、東京都の小学校教諭・河田なおや先生が開発したオリジナルのボールゲーム教材です。しかしこれは、ただ楽しいゲームではありません。つまり、子どもたちがルールを自分たちで工夫し、対話したくなる授業を生み出すための仕掛けが詰まっているのです。そこで本記事では、「クロスボーナスゲーム」を通じて2年体育で「深い学び」を実現する授業づくりのポイントを、図解とともに徹底解説します。さらに、不登校傾向の子が登校するようになった事例も紹介します。

河田 なおや 先生(東京都小学校教諭)

授業てらす チーム体育所属。現在は東京都の公立小学校で教鞭を執りながら、子どもの内発的な学びを引き出す体育授業を実践。とくに、ルールを子どもと一緒に工夫していく「対話型」のボールゲーム教材の開発に定評があり、みんなの教育技術にも掲載されている。

体育授業の「深い学び」とは何か

まず、河田先生は体育授業における「深い学び」をどう捉えているのでしょうか。たしかに学習指導要領には様々なことが書かれていますが、河田先生なりの答えは、とてもシンプルで力強いものでした。

深い学びとは「学びが授業の枠を超えている姿」である。 ― 河田なおや 先生

つまり、「休み時間にやりたい」「もう一度やりたい」「体育授業以外でブームになっている」――そんな子どもたちの姿こそが、体育授業での深い学びだと捉えています。実際に、「クロスボーナスゲーム」を行った後の子どもたちの振り返りには、「家でも練習したい」「お家でもやってみたいな」という言葉が出てきました。

📋
従来の体育

授業内で完結。
チャイムが鳴ったら終わり。
つまり学びが「枠の中」に閉じている。

🌟
深い学び

休み時間にもやりたい。
家でも練習したい。
つまり学びが「授業の枠を超えて」広がる。

「クロスボーナスゲーム」(2年体育)の仕組みとは

では、河田先生が開発した「クロスボーナスゲーム」(2年体育)とは、どんなゲームなのでしょうか。そこで、まずは基本ルールから紹介します。

⚽ クロスボーナスゲームの基本ルール
  • まず、ボールを相手コートに落とすと得点が入る、シンプルなルール。
  • そして、コートごとにボールの数や広さなどが異なる
  • さらに、子どもたちは自分に合ったコート(ルール)を選んでプレーできる。
  • つまり、得点が入る楽しさを多く味わえるように設計されている。

教材設計の最大のポイント

ところで、「クロスボーナスゲーム」の最大の特徴は、ただ楽しいゲームをするだけではない点にあります。つまり、教師が与えたルールを守るだけではなく、ルールを子どもたちが自分たちに合ったものに工夫していくことを大切にしているのです。

⚽⚽ コートA ボール多め・広め コートB スピード重視 ⚽⚽⚽ コートC 作戦を試せる このように、コートごとにルールが違うから、子どもは自分に合ったコートを選べる

「ルールを守る」ことが「みんなで楽しむ」に繋がる

そして、河田先生がもう一つ大事にしたのは、ルールを守ることが全員が楽しむことにつながるという視点です。つまり、これは道徳的な学びにも自然と繋がっていきます。たとえば、世の中では大人でもルールを守れないことがありますが、ルールを守る大切さを2年体育の段階から子どもたちに伝えたい――そんな願いも込められているのです。

私自身は「こういうルールがいいよ」と引っ張るのではなく、ファシリテーターとして子どもたちを支えることを意識しました。 ― 河田なおや 先生

こうしたゲーム作りの考え方は、文部科学省「学校体育実技指導資料 ゲーム及びボール運動」で示される、低学年からの「ボールゲームの楽しさ」を引き出す指導観とも深く重なります。

「クロスボーナスゲーム」で生まれた子どもたちの変化

では、「クロスボーナスゲーム」(2年体育)の授業を重ねる中で、子どもたちにはどんな変化が生まれたのでしょうか。たとえば、教室から次のような声が次々と上がってきました。

🌟 子どもたちから自然と出た声
  • まず、「こっちの方が点が僕は取れたな」と作戦を比較する声。
  • 次に、「こっちの作戦の方がうまくいったな」と振り返る声。
  • さらに、「またもう一度やりたい」「お楽しみ会でもやりたいな」と授業外の学びへ広がる声。

つまり、子どもたちが主体的に・意欲的に学ぶ姿が多く見られたのです。そして、河田先生が目指した「内発的な学びを引き出す教材」として、「クロスボーナスゲーム」(2年体育)はその役割を果たしたといえます。

子どもの内発的な動機を引き出す3つの仕掛け

1
選択できるコート

まず、自分に合ったルールのコートを子どもが選ぶ。「やらされ感」がない。

2
ルールを工夫

次に、子ども自身がルールに手を加え、より楽しめる形を考える。

3
ファシリテーター教師

そして、教師は引っ張らず、子どもの活動を支える役に徹する。

実践の課題と仲間からのフィードバック

一方で、河田先生はこの実践に課題も感じています。つまり、作戦や攻め方とルールが重複してしまった部分があり、「教材としてルールに焦点化した教材にしておけばよかった」というのが、単元構成での反省点でした。

嬉しい報告:不登校傾向の子が登校した

ところが、この実践を「みんなの教育技術」や授業てらすで共有したところ、嬉しい報告が届きました。なんと、不登校傾向にあった子どもたちが実際に登校するようになったという報告が2件寄せられたのです。

体育授業の可能性をすごく感じることができた。これが、今回の大きな成果だと思っています。 ― 河田なおや 先生

仲間からの深い気づき

さらに、授業てらすでの議論を通じて、別の先生方からも深い気づきが寄せられました。たとえば、以下のようなフィードバックです。

視点 気づきの内容
ルールの捉え直し 「ルールがあるからこそ、その外側の新しいやりたいことが生まれる実践になっている」
カリキュラム観 「子どもたちの学びの姿から、ボトムアップ的にカリキュラム全体を作っていく視点が大切」
単元名の工夫 学習指導要領の「ルールを選択する」を、「みんなが楽しめるルールを考える」という単元名に変換

体育の可能性とAI時代の身体性

そして議論はさらに広がり、オランダの体育教育との比較や、AI時代における身体性・コミュニケーションの重要性にまで発展しました。つまり、これからの時代だからこそ、体育の価値が改めて見直されているのです。

情報と知識が民主化される時代だからこそ、体育で培われる身体性やコミュニケーション能力が重要になる。 ― 授業てらすでの議論より
①AIで知識が民主化 誰でも情報にアクセス ②差を生むのは 身体性・対話力 ③体育の出番 2年体育から育む このように、AI時代だからこそ「クロスボーナスゲーム」のような対話型体育の価値が高まる

こうした視点は、文部科学省の学習指導要領が掲げる「主体的・対話的で深い学び」の体育版を考えるうえで、大きな示唆を与えてくれます。

まとめ|「クロスボーナスゲーム」が拓く2年体育の未来

🌱 この記事のポイント

このように「クロスボーナスゲーム」(2年体育)は、ただ楽しいゲームを超えて、子どもの内発的な学び対話したくなる空気を生み出す授業実践でした。つまり、ルールを子どもと一緒に作り、教師はファシリテーターとして支える――この発想の転換こそが、体育の「深い学び」を実現する鍵なのです。

そして河田先生は語ります。「体育授業には無限の可能性がある」と。したがって明日からの2年体育で、ぜひ子どもたちと一緒にルールを作り直してみてください。きっと、教室には「もっとやりたい!」と目を輝かせる子どもたちの姿が広がるはずです。

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