社会問題を子どもたちと共に考える〜Aさんの変容から学びを深める〜
本実践は、4年社会科「特色のある地域」の授業を通してAさんの外国の人に対する捉えの変容を願って行った実践をまとめたものです。
社会科授業業づくりで大切にしたこと
私は子どもたちに「よりよい地域をつくるために自分たちに何ができるのか」を考え続けてほしいと願っています。そのためには、地域のよさだけでなく、地域で起こっている問題(社会問題)も積極的に扱う必要があると考えました。
社会問題を分析する中で、社会のよりよい仕組みをつくるのも「人」であり、社会問題を生み出すのも「人」であることに気づき、その上で、今の自分にできること、今の自分たちにできることを考えられるようになってほしいと考えています。
子どもの姿から単元を見つめ直す
このような実践を行うためには、社会問題と子どもとの距離を縮めることが欠かせません。社会問題を「遠い社会の出来事」として捉えるのではなく、「自分たちの地域でも起こっている問題」として考えることで、自分がどのように関わるべきかを考えることにつながっていきます。
今回の実践では、国際交流が盛んな地域を学習する前に、自分たちの地域の産業を今後支えていくのは外国技能実習生だと語る水産加工会社の社長の資料を提示しました。これから自分たちの地域に外国人が増えていくことを知ったAさんは、しばらく沈黙した後、「外国人が増えるのは嫌だ。だって、外国人は何をするかわからないから」と本音を語ってくれました。
この発言から学級の子どもたちの中に外国の人に対する偏った見方があることを感じ、当初予定していた単元構成を見直すことにしました。自分たちの市に住むベトナムの人との交流を組み込むなど、授業後の子どもの姿を手がかりに、必要な学習を再構成しながら進めていきました。
Aさんは学習の中盤までは外国人を拒否する発言が多く見られました。しかし、国際交流の取組を通して、なぜ自分たちにそのような発言が生まれるのかを考える中で「外国人は悪い人だという勝手な決めつけ」に気づいていきました。また、自分たちの地域に住むベトナム人のFさんとの交流を通して「外国人」という大きなくくりで捉えていた自分に気づくと同時に、怖さが完全に消えたわけではないという葛藤も自覚するようになっていきました。そこから、外国人との共生の難しさや、自分が関わっていくことの必要性について考えるようになっていったのです。
フィードバックから見えてきたこと
フィードバックでは、Aさんが本音を表現できる学習環境や、Aさんの変容が見られた点、子どもの姿をもとに柔軟に単元を変更した点を評価していただきました。一方で、社会科としての学びをさらに充実させることや、外国人と深く交流する時間を増やすことの重要性についても指摘を受けました。これらの指摘を今後の実践に生かしていきたいと考えています。
今回の実践や発表を通して、Aさんの変化を生み出した要因は、Aさん自身が「変わろうとしていたこと」に教師が気づけた点にあったと考えるようになりました。普段の授業の中にも、Aさんのように変わろうとしている子どもは必ずいるはずです。その子どもに気づき、教師として何ができるのかを考え続けることが大切になっていきます。これからも、目の前の子どもの姿から授業を考えることを大切にし、実践を積み重ねていきたいです。
授業てらす アツト

