【体育 水遊び 2年生】「泳がせなきゃ」を手放す体育授業 国立学園小学校 河田侃也先生

水遊び 2年生の授業で、子どもが本当に夢中になる学びをつくる方法を紹介します。提案者は国立学園小学校の河田侃也先生で、体育を総括して研究している立場から「子ども主体を約束する授業」を語っていただきました。なお、本記事は授業てらすの提案授業プレゼン動画をもとに、水への恐怖心を取り除き、遊びを通して水に慣れ親しんでいく実践のポイントをまとめたものです。

水遊び 2年生|「泳がせなきゃ」を手放す体育授業

低学年の水遊び 2年生を、子ども主体に変える視点。河田侃也先生(国立学園小学校)が、恐怖心を取り除き、遊びを通して水に慣れ親しむ実践を語ります。UFOや進化じゃんけんなど、明日から使える運動遊びも紹介します。

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▲ 国立学園小学校・河田侃也先生による「水遊び 2年生」の授業プレゼン(授業てらす公式YouTube)

この記事でわかること まず、水遊び 2年生の授業で陥りがちな「早く潜らせなきゃ」「基本を教えなきゃ」というバイアスを見直します。さらに、恐怖心を取り除き、遊びを通じて水に慣れ親しむことで、結果的に浮く・もぐるといった基本動作が自然と引き出される実践の考え方を整理しました。
「泳がせなきゃ」を、いったん手放す。
水遊び 2年生の授業を変える、河田先生からの提案です。

1. 若手教員が抱きがちな「水泳指導」のバイアス

体育の水泳指導を任されたとき、多くの先生が「早く潜らせなきゃ」「水泳の基本を順序立てて教えなきゃ」という思いに駆られます。とくに低学年を担任している20代・30代の先生にとって、限られたプール時間で成果を出さねばというプレッシャーは大きいものです。

しかし、河田侃也先生は体育を総括して研究している立場から、このバイアスにそっと待ったをかけます。なぜなら、水への恐怖心が残ったまま技能だけを先に教えようとすると、子どもの体は知らず知らずブレーキを踏んでしまうからです。

ありがちな思い込み 「水遊び 2年生だから、まず潜れるようにしよう」「息を止める練習から始めよう」――こうした順序にこだわるほど、水を怖がる子は教師の指示に応えられず、苦手意識を強めてしまうことがあります。

2. 水遊び 2年生で大切にしたい3つの視点

では、河田先生が提案する子ども主体の水遊び 2年生では、何を大切にすればよいのでしょうか。提案を整理すると、次の3つの視点に集約されます。

図:水遊び 2年生 子ども主体を約束する3つの視点
水遊び 2年生で子ども主体を約束する3つの視点 水遊び 2年生の授業で、恐怖心を取り除く・遊びで慣れ親しむ・基本動作へ自然に接続する、という3つの視点を順に並べた図です。 STEP 1 恐怖心を 取り除く → STEP 2 遊びで 水に慣れ親しむ → STEP 3 基本動作へ 自然に接続 水遊び 2年生を子ども主体に変える流れ
1
恐怖心を取り除く まず、水を怖いと感じる気持ちを丁寧にほどきます。
2
遊びで慣れる さらに、移動やじゃんけんなどの運動遊びで親しみます。
3
基本動作へ接続 最後に、浮く・もぐるが躊躇なく出てくる状態をつくります。

3. 恐怖心はなぜ動きを止めるのか

河田先生が最も強調するのは、低学年の子どもが抱える「水への恐怖心」を見落とさないことです。たとえば顔に水がかかる、耳に水が入る、足が床から離れる――これらはすべて、初めての子どもにとっては大きな不安要素です。

とくに低学年は、水中での活動経験そのものが少ない時期にあたります。だからこそ、教師が「沈むのは簡単だよ」と言葉で励ましても、本能的な恐怖は簡単には消えません。むしろ「できない自分」を意識してしまい、体がさらに固くなる悪循環に入りがちです。

水中で動けないのは、技能が足りないからではありません。多くの場合、恐怖心が体にブレーキをかけているのです。だからこそ、まず安心して水と関われる場をつくることが先決になります。

河田先生からの視点 水を怖がっている子に「もっと潜って」と声をかけても効果は薄いものです。なぜなら、子どもは「怖い」という感覚を言語化できないまま固まっているからです。そこで必要なのは、励ましではなく「怖くなくなる状況」のデザインです。

4. 遊びで慣れる|UFOと進化じゃんけん

では、恐怖心を取り除き、水に慣れ親しむためには何をすればよいのでしょうか。河田先生のプレゼンで紹介されたのは、子どもが思わず夢中になる2つの運動遊びです。

① UFO(水中で姿勢をつくる遊び)

水中でしゃがんだり、両手を広げて漂ったりしながら、UFOのような形をつくる遊びです。子どもは「UFOになろう」というイメージに乗って体を動かすうちに、自然に水に体を預ける感覚を身につけていきます。

つまり、教師が「力を抜いて」と指示するよりも、「UFOになってごらん」と問いかけたほうが、子どもの体は素直に水に馴染んでいくのです。

② 進化じゃんけん(水中での移動を楽しむ遊び)

進化じゃんけんは、水中で出会った友達とじゃんけんをし、勝つと「進化」していくシンプルな遊びです。たとえば「アリ→アヒル→サル→人間」のように、ポーズを変えながら水中を移動していきます。

この遊びの優れている点は、子どもが「水中を移動する」という動きを、ゲームの中で何度もくり返すところにあります。なお、勝ち負けに夢中になるあまり、恐怖心を忘れて自然と体が動くのが特徴です。

2つの遊びに共通する設計
  • 子どもが「やりたい」と思える明確なゴール(イメージや勝ち負け)がある
  • 水中で起こる動きが、自然と「水に慣れる」要素を含んでいる
  • 教師が技能を教え込むのではなく、遊びの中で子どもが体感する

5. 遊びから基本動作へ|自然な接続のしかた

遊びだけで終わっては授業として成立しません。しかし、河田先生のアプローチでは、遊びを十分に楽しんだ子どもが、結果として基本動作に躊躇なく取り組めるようになっていきます。

たとえばUFOを楽しんだ子は、すでに水に体を預ける感覚を得ています。だからこそ「浮いてみよう」と教師が声をかけたとき、体にブレーキがかからず、すっと浮く動きに移っていけるのです。

従来の指導

「まず潜る練習」「次は浮く練習」と段階を分けて指示する。
→ 怖い子は最初のステップで止まりがち。

河田先生の提案

遊びで水に慣れ親しむうちに、結果として浮く・もぐるが自然に出る。
→ 苦手な子もブレーキなく動ける。

水遊び 2年生の授業では、基本動作を「教える」順序ではなく、「引き出される」順序を意識することが大切です。そのほうが、子どもの体は素直に動いてくれます。

6. 教科書通りの授業と何が違うのか

ここで、教科書的な水泳指導と、河田先生の提案する水遊び 2年生を整理しておきましょう。なお、どちらが正解というわけではなく、目の前の子どもに合わせて選ぶ視点が大切です。

観点従来の水泳指導河田先生の提案
授業の起点教師が示す基本動作の順序子どもが感じる「楽しい」「やりたい」
恐怖心への対応「頑張れば慣れる」と励ます恐怖心が出にくい状況を設計する
活動の中心潜る・浮く・けのびの練習UFO・進化じゃんけんなどの運動遊び
基本動作への到達段階的に教え込む遊びの中から自然に引き出される
子どもの心理「できない」を意識しやすい「もっとやりたい」が前面に出る
注意したい点 安全管理は、どちらのアプローチでも最優先事項です。なお、遊びを取り入れる際こそ、バディシステム・人数確認・水深への配慮など、基本的な安全指導を欠かしてはいけません。

7. 水遊び 2年生のまとめ|明日からの一歩

河田侃也先生のプレゼンが教えてくれるのは、「泳がせなきゃ」というバイアスをいったん手放す勇気です。なぜなら、低学年の子どもにとって、水との出会い方そのものが、その後の水泳学習を大きく左右するからです。

まずは、目の前の子どもが水を怖がっていないかを丁寧に観察してみてください。そのうえで、UFOや進化じゃんけんのような運動遊びを1つ取り入れるだけでも、教室の空気はずいぶん変わります。だからこそ、明日のプール授業の冒頭5分から、「遊び」で始めてみてはいかがでしょうか。

水遊び 2年生 × 子ども主体 「教えなきゃ」を手放したとき、子どもは自分から水に近づいていく。

参考リンク

授業てらすで、子ども主体の体育を学ぼう

授業てらすは、全国47都道府県・1,100名以上の小中学校教員が集う教員研修プラットフォームです。なお、体育チームをはじめ、各教科の実践提案が日々共有されています。

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※本記事は授業てらす公式YouTube動画(河田侃也先生による提案授業「2年生 水遊び|子ども主体を約束する授業プレゼン」)の内容をもとに構成しています。なお、河田先生の連載「実技が苦手な先生こそ! アタマで分かる体育指導」(小学館「みんなの教育技術」)も参考にしています。

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