直方体と立方体の導入(第1時)|小4算数の授業実践と発問【動画つき】
直方体と立方体の導入(第1時)は、どう始めれば子どもが主体的に動き出すのでしょうか?
本記事では、実際の授業動画をもとに、色板を使った導入の流れ・教師が話しすぎない発問・子どもが自分の言葉で気づいていく関わり方を解説します。明日の授業でそのまま試せる視点を、映像とあわせて紹介します。
教師が話しすぎると、子どもは「聞く人」になる
子ども主体の授業づくりとは、子どもが自分で考え、友達と対話し、自分の言葉で学びを深めていく授業をつくることです。
しかし実際の授業では、教師が説明しすぎてしまう場面が少なくありません。教師がよかれと思って話すほど、子どもは「考える人」ではなく「聞く人」になっていきます。その結果、子どもが考える時間そのものが減ってしまうのです。
だからこそ、教師が話さない場面を意図的につくることが大切です。これは「教師が何もしない」という意味ではありません。子どもの思考が動く場面を、教師が意図してデザインするということです。
【授業動画】直方体と立方体の導入(第1時)の実際
ここでは、実際の授業を見てみましょう。小学4年生算数「直方体と立方体」の単元第1時(導入)です。この授業で大事にしているのは、問題に主体的に関わり、仲間にも主体的に関わる子どもを育てることです。
- 小4「直方体と立方体」第1時・導入の入り方(色板の配り方)
- 子どもが主体的に動き出す発問「あと何枚いる?」
- 教師が話しすぎないための、問い返しのタイミング
完成形を先に教えません。色板(面のもと)を配り、「あと何枚いる?」と問いかけるだけ。あとは子ども同士の対話にゆだねます。教師の発話は最小限です。
動画で起きていたこと|子どもの言葉から授業がつくられる
動画の中では、教師がほとんど説明しません。それでも子どもたちは、自分たちの言葉で立体の特徴に気づいていきます。実際のやりとりを、一部再現します。
ここで注目したいのは、教師が答えを言っていないことです。「6枚」という子どもの発言を、すぐに正解だと確定させません。代わりに「なんで6枚だと思ってるの?」と問い返します。すると子どもは、自分の考えの根拠として「面」に目を向け始めます。
さらに教師は、子どもから出た言葉を逃さず「今いい言葉が出たよね」と価値づけます。こうして、立体が面で構成されているという気づきが、教師の説明ではなく子どもの言葉から生まれていきます。これが「子どもの言葉で授業をつくる」ということです。
導入の流れ(第1時)
箱(直方体・立方体)の面のもとになる色板を提示します。完成形は見せません。
何枚あれば箱になるかを問います。子どもは頭の中で立体を組み立て始めます。
「なんで6枚?」と理由を尋ねます。面・辺・頂点への気づきが引き出されます。
子どもから出た言葉を取り上げ、全体に広げます。学びが共有されます。
「分からない」を出せる学級のつくり方
この授業のもう一つの山場は、「6枚の意味が分からない」という子が手を挙げた場面です。分からないことを安心して出せる空気は、一朝一夕にはつくれません。実際の授業では、次のように積み重ねています。
- 安心を伝える:「分からないと言っていいんだよ」と繰り返し声をかける。
- 仲間を可視化する:「他にもいるんじゃない?」と問うと、同じ子がパッと手を挙げる。一人じゃないと分かる。
- 4月から続ける:この関わりを年度はじめから日常的に積み重ねる。特別な日だけの取り組みにしない。
「分からない」を出せることは、子ども主体の授業の土台です。分からないが安心して出せるからこそ、子どもは考えを言葉にし、対話が動き始めます。
教師が話さない授業の発問例
教師が話さない授業ほど、わずかな発問が大切になります。長く説明する代わりに、短く問い返す。ここでは、この実践で使われている発問を整理します。
- みんなは、何枚もらおうと思ってるの?
- なんで、そう思ってるの?
- 今いい言葉が出たよね。なんだった、それは?
- (分からない子に)他にもいるんじゃない?
- 分からないって言っていいんだよ。今、どういう状況?
- 誰が説明してくれるかな?
発問の目的は、正解を言わせることではありません。子どもが根拠をもって説明できるようにすることです。だから教師は「正しいかどうか」だけを見るのではなく、子どもが何に着目しているのかを見取ります。
授業改善チェックリスト|教師が話さない授業に近づくために
子ども主体の授業づくりを進めるための視点を確認します。授業後のふり返りにも使えます。
- 授業の最初に、子どもが考えたくなる問いがある
- 教師が説明する前に、子どもが考える時間がある
- 子どもの発言を、正解・不正解だけで扱っていない
- 子どもから出た言葉を、教師が価値づけている
- 「分からない」を安心して出せる空気がある
- 最後に、子ども自身の言葉でまとめている
すべてを一度に変える必要はありません。まずは一つ、「教師が説明する前に、子どもが考える時間をつくる」だけでも授業は変わります。
教師主導と子ども主体の関わり方の違い
| 場面 | 教師が話しすぎる対応 | 教師が話さない(子ども主体の)対応 |
|---|---|---|
| 導入 | 完成形を見せて説明する | 色板を配り「あと何枚いる?」と問う |
| 子どもの発言 | すぐ「正解です」と言う | 「なんでそう思ったの?」と問い返す |
| 気づき | 教師が用語を教える | 子どもの言葉を取り上げ価値づける |
| 分からない子 | そのまま進む | 「他にもいるんじゃない?」と仲間を可視化する |
まとめ|教師が話さない授業は、明日から始められる
子ども主体の授業づくりは、特別な授業だけのものではありません。日々の授業の小さな工夫から始められます。
まずは、教師が説明していた時間を少しだけ減らします。そして、その時間を子どもが考え、話す時間に変えます。子どもから出た言葉を価値づけ、「分からない」を安心して出せる空気をつくる。この積み重ねが、教師主導から子ども主体への授業改善につながります。
まずは「なんで、そう思ったの?」と問い返す。
この一言から、教師が話さない授業づくりは始まります。
よくある質問
Q. 教師が話さない授業にすると、学習がまとまらなくなりませんか?
A. いいえ。問いと見る視点が明確であれば、教師が話さなくても授業は整理されます。むしろ子どもが考え・話す時間が増え、学びが深まります。
Q. 子どもが「分からない」と言えるクラスは、どうつくるのですか?
A. 「分からないと言っていいんだよ」と安心を繰り返し伝え、「他にもいるんじゃない?」と問い返して仲間の存在を可視化します。4月からの積み重ねで、分からないを出せる学級になります。
Q. 「直方体と立方体」の導入は、どう始めると子どもが主体的になりますか?
A. 完成形を教えず、色板(面のもと)を配って「あと何枚いる?」と問います。子どもは面・辺・頂点や箱の構成に、自分たちで気づき始めます。
Q. 明日から取り入れやすい工夫は何ですか?
A. 教師が説明する前に「どうしてそう思ったの?」と問い返すことです。この一言で、子どもが根拠をもって話し始めます。
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※公開時は、上記を実際の関連記事URL(算数の他の実践記事など)に差し替えると、さらに効果的です。
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