【算数・4年生】「直方体と立方体(光村図書出版)」脱教師主導の実際の授業が見れる! 宮崎県小学校教諭 松浦悟史

直方体と立方体の導入|小4算数 第1時の授業実践と発問

直方体と立方体の導入(第1時)|小4算数の授業実践と発問【動画つき】

執筆 松浦 悟史(宮崎県内公立小学校 教諭)

授業てらす|教員研修プラットフォーム 実践レポート

直方体と立方体の導入(第1時)は、どう始めれば子どもが主体的に動き出すのでしょうか?
本記事では、実際の授業動画をもとに、色板を使った導入の流れ・教師が話しすぎない発問・子どもが自分の言葉で気づいていく関わり方を解説します。明日の授業でそのまま試せる視点を、映像とあわせて紹介します。

教師が話しすぎると、子どもは「聞く人」になる

子ども主体の授業づくりとは、子どもが自分で考え、友達と対話し、自分の言葉で学びを深めていく授業をつくることです。

しかし実際の授業では、教師が説明しすぎてしまう場面が少なくありません。教師がよかれと思って話すほど、子どもは「考える人」ではなく「聞く人」になっていきます。その結果、子どもが考える時間そのものが減ってしまうのです。

だからこそ、教師が話さない場面を意図的につくることが大切です。これは「教師が何もしない」という意味ではありません。子どもの思考が動く場面を、教師が意図してデザインするということです。

教師が話す授業 先生が説明する 子どもが聞く 正解を確認する 教師が話さない授業 子どもが考える 友達と話す 自分の言葉で気づく
教師が一歩引くことで、子どもが一歩前に出る授業へ近づきます。
直方体と立方体 – 面・辺・頂点を調べよう直方体面:6つ辺:12本頂点:8つ立方体(すべての面が正方形)すべての辺が等しい直方体:6面12辺8頂点 立方体:すべての面が合同な正方形
目次

【授業動画】直方体と立方体の導入(第1時)の実際

ここでは、実際の授業を見てみましょう。小学4年生算数「直方体と立方体」の単元第1時(導入)です。この授業で大事にしているのは、問題に主体的に関わり、仲間にも主体的に関わる子どもを育てることです。

この授業動画でわかること
  • 小4「直方体と立方体」第1時・導入の入り方(色板の配り方)
  • 子どもが主体的に動き出す発問「あと何枚いる?」
  • 教師が話しすぎないための、問い返しのタイミング
この導入で教師がしていること
完成形を先に教えません。色板(面のもと)を配り、「あと何枚いる?」と問いかけるだけ。あとは子ども同士の対話にゆだねます。教師の発話は最小限です。

動画で起きていたこと|子どもの言葉から授業がつくられる

動画の中では、教師がほとんど説明しません。それでも子どもたちは、自分たちの言葉で立体の特徴に気づいていきます。実際のやりとりを、一部再現します。

教師みんなは、何枚もらおうと思ってるの?
子ども6枚!
教師「全部で6枚」の意味が分かってるという人は? なんで6枚だと思ってるの?
子ども箱は、どこの面でできてるか…(面に着目し始める)
教師お、今いい言葉が出たよね。なんだった、それは。

ここで注目したいのは、教師が答えを言っていないことです。「6枚」という子どもの発言を、すぐに正解だと確定させません。代わりに「なんで6枚だと思ってるの?」と問い返します。すると子どもは、自分の考えの根拠として「面」に目を向け始めます。

さらに教師は、子どもから出た言葉を逃さず「今いい言葉が出たよね」と価値づけます。こうして、立体が面で構成されているという気づきが、教師の説明ではなく子どもの言葉から生まれていきます。これが「子どもの言葉で授業をつくる」ということです。

導入の流れ(第1時)

色板を配る

箱(直方体・立方体)の面のもとになる色板を提示します。完成形は見せません。

「あと何枚いる?」

何枚あれば箱になるかを問います。子どもは頭の中で立体を組み立て始めます。

理由を問い返す

「なんで6枚?」と理由を尋ねます。面・辺・頂点への気づきが引き出されます。

言葉を価値づける

子どもから出た言葉を取り上げ、全体に広げます。学びが共有されます。

「分からない」が言える学級をつくる3つの条件分からないを言える教室①安心できる雰囲気間違いを笑わないクラスの文化をつくる②少人数でのトークまず2人で話してから全体へ③教師のモデリング先生も「分からない」と言える姿を見せる

「分からない」を出せる学級のつくり方

この授業のもう一つの山場は、「6枚の意味が分からない」という子が手を挙げた場面です。分からないことを安心して出せる空気は、一朝一夕にはつくれません。実際の授業では、次のように積み重ねています。

「分からない」を出せるようにする手立て
  • 安心を伝える:「分からないと言っていいんだよ」と繰り返し声をかける。
  • 仲間を可視化する:「他にもいるんじゃない?」と問うと、同じ子がパッと手を挙げる。一人じゃないと分かる。
  • 4月から続ける:この関わりを年度はじめから日常的に積み重ねる。特別な日だけの取り組みにしない。

「分からない」を出せることは、子ども主体の授業の土台です。分からないが安心して出せるからこそ、子どもは考えを言葉にし、対話が動き始めます。

教師が話さない授業で使える発問の型発見型「何が見えますか?」「気づいたことは?」観察から始める理由型「なぜそう思う?」「どうして?」思考を深める比較型「どこが違う?」「同じところは?」視点を広げる予想型「次はどうなる?」「予想してみよう」見通しを持たせる

教師が話さない授業の発問例

教師が話さない授業ほど、わずかな発問が大切になります。長く説明する代わりに、短く問い返す。ここでは、この実践で使われている発問を整理します。

  • みんなは、何枚もらおうと思ってるの?
  • なんで、そう思ってるの?
  • 今いい言葉が出たよね。なんだった、それは?
  • (分からない子に)他にもいるんじゃない?
  • 分からないって言っていいんだよ。今、どういう状況?
  • 誰が説明してくれるかな?

発問の目的は、正解を言わせることではありません。子どもが根拠をもって説明できるようにすることです。だから教師は「正しいかどうか」だけを見るのではなく、子どもが何に着目しているのかを見取ります。

授業改善チェックリスト|教師が話さない授業に近づくために

子ども主体の授業づくりを進めるための視点を確認します。授業後のふり返りにも使えます。

  • 授業の最初に、子どもが考えたくなる問いがある
  • 教師が説明する前に、子どもが考える時間がある
  • 子どもの発言を、正解・不正解だけで扱っていない
  • 子どもから出た言葉を、教師が価値づけている
  • 「分からない」を安心して出せる空気がある
  • 最後に、子ども自身の言葉でまとめている

すべてを一度に変える必要はありません。まずは一つ、「教師が説明する前に、子どもが考える時間をつくる」だけでも授業は変わります。

教師主導と子ども主体の関わり方の違い

場面 教師が話しすぎる対応 教師が話さない(子ども主体の)対応
導入 完成形を見せて説明する 色板を配り「あと何枚いる?」と問う
子どもの発言 すぐ「正解です」と言う 「なんでそう思ったの?」と問い返す
気づき 教師が用語を教える 子どもの言葉を取り上げ価値づける
分からない子 そのまま進む 「他にもいるんじゃない?」と仲間を可視化する

まとめ|教師が話さない授業は、明日から始められる

子ども主体の授業づくりは、特別な授業だけのものではありません。日々の授業の小さな工夫から始められます。

まずは、教師が説明していた時間を少しだけ減らします。そして、その時間を子どもが考え、話す時間に変えます。子どもから出た言葉を価値づけ、「分からない」を安心して出せる空気をつくる。この積み重ねが、教師主導から子ども主体への授業改善につながります。

明日からの一歩
まずは「なんで、そう思ったの?」と問い返す。
この一言から、教師が話さない授業づくりは始まります。

よくある質問

Q. 教師が話さない授業にすると、学習がまとまらなくなりませんか?

A. いいえ。問いと見る視点が明確であれば、教師が話さなくても授業は整理されます。むしろ子どもが考え・話す時間が増え、学びが深まります。

Q. 子どもが「分からない」と言えるクラスは、どうつくるのですか?

A. 「分からないと言っていいんだよ」と安心を繰り返し伝え、「他にもいるんじゃない?」と問い返して仲間の存在を可視化します。4月からの積み重ねで、分からないを出せる学級になります。

Q. 「直方体と立方体」の導入は、どう始めると子どもが主体的になりますか?

A. 完成形を教えず、色板(面のもと)を配って「あと何枚いる?」と問います。子どもは面・辺・頂点や箱の構成に、自分たちで気づき始めます。

Q. 明日から取り入れやすい工夫は何ですか?

A. 教師が説明する前に「どうしてそう思ったの?」と問い返すことです。この一言で、子どもが根拠をもって話し始めます。

あわせて読みたい・参考リンク

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※公開時は、上記を実際の関連記事URL(算数の他の実践記事など)に差し替えると、さらに効果的です。

学習指導要領・単元の参考(外部リンク)

授業をもっと子ども主体に

授業てらすでは、今回のようなフルバージョンの授業動画を見て、仲間と語り合いながら、明日の授業改善につなげる学びができます。

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