「てこの単元の指導案を書かなくちゃいけない」「実験用てこで表をうめるだけの作業になってしまう」「『重さ×きょり』のきまりを、子どもが自分で見つけた実感がもてない」。6年生の理科を担当する先生から、よく聞く悩みです。
この記事では、6年理科の単元「てこのはたらき」から、実験用てこが水平につり合うときのきまりを見つける時間の指導案を、子どもが主体的に話し合う授業を軸にまとめました。教材研究のポイント、単元計画、本時の展開と板書例、そのまま使えるワークシート、先生たちの実践を紹介します。

- 「手ごたえ」から「重さ×きょり」へつなぐ教材研究のポイント
- 単元の目標と評価規準
- 単元計画(全10時間)
- 本時(てこがつり合うときのきまり)の指導案と板書例、ワークシート
- 6年生が主体的に話し合う5つの工夫と、先生たちの実践例
この記事は、全国の小学校教員が実践を学び合うオンラインコミュニティ「授業てらす」が、公開されている指導案や先生たちの実践をもとに編集しています(2026年11月時点)。
てこのはたらきの教材研究
この単元の前半では、棒を使って重い物を持ち上げ、力点や作用点の位置を変えたときの手ごたえを体で感じます。後半では、実験用てこを使って、その手ごたえをおもりの重さと支点からのきょりで数として表します。体で感じたことを、数で確かめ直す流れにすると、子どもは「やっぱりそうだった」「こんなきまりがあったんだ」と納得しながら学べます。
「手ごたえ」を「数」で確かめる
単元の前半と後半をつなげて考える
| 体で感じる | 棒で砂ぶくろを持ち上げ、力点・作用点の位置を変えて手ごたえをくらべる ポイント:「支点から力点が遠いほど軽い」「作用点が支点に近いほど軽い」を言葉にさせる |
|---|---|
| 数で表す | 実験用てこで、おもりの重さと支点からのきょりを変えて、つり合うときを調べる ポイント:手ごたえを「おもり何個分」で表すと、くらべやすくなる |
| きまりを見つける | つり合ったパターンを集め、「おもりの重さ×支点からのきょり」が左右で等しいことに気づく ポイント:教えるのではなく、たくさんのパターンからきまりを見つけさせる |
| くらしに生かす | はさみ・せんぬき・ピンセットなど、身の回りのてこを利用した道具を調べる ポイント:支点・力点・作用点の位置で道具をくらべる |
本時の実験用てこでは、子どもから「たし算になっている」「かけ算になっている」など、いろいろな見方が出てきます。すぐに正解を示さず、つり合ったパターンとつり合わなかったパターンの両方を黒板にならべて、どの見方ならすべてのパターンを説明できるかを話し合わせることが大切です。6年算数の比例・反比例の学習とつながる内容でもあります。
ほかの学年の理科は5年理科「電流がうみ出す力」指導案や4年理科「わたしたちの体と運動」指導案でも紹介しています。
単元の目標と評価規準
学習指導要領(第6学年 A物質・エネルギー (3) てこの規則性)の内容をもとに、目標と評価規準を次のように設定します。
| 観点 | 評価規準(例) |
|---|---|
| 知識・技能 | 力を加える位置や力の大きさを変えると、てこを傾ける働きが変わり、てこがつり合うときにはそれらの間に規則性があることを理解している。身の回りには、てこの規則性を利用した道具があることを理解している。実験用てこなどを適切に使って調べ、その過程や結果を記録している。 |
| 思考・判断・表現 | てこの規則性について追究する中で、力を加える位置や力の大きさとてこの働きとの関係について、より妥当な考えをつくりだし、表現している。 |
| 主体的に学習に 取り組む態度 |
てこの規則性についての事物・現象に進んで関わり、粘り強く、他者と関わりながら問題解決しようとしているとともに、学んだことを学習や生活に生かそうとしている。 |
※学習指導要領 理科 第6学年 A(3)「てこの規則性」をもとにした例です。
単元計画(全10時間)
公開されている指導案では、この単元を全10時間前後で計画している例が見られます。ここでは、全10時間の例を紹介します。時数は学校の年間指導計画と指導書で確認してください。
| 時 | 主な学習活動 | 子どもが話す工夫 |
|---|---|---|
| 1時 | 棒を使って重い砂ぶくろを持ち上げ、気づいたことから問題を見いだす。支点・力点・作用点を知る | 「どこを持つと軽かった?」を体験をもとに出し合う |
| 2〜3時 | 力点や作用点の位置を変えて、手ごたえのちがいを調べる | 手ごたえを「重い・軽い」の言葉で表に整理し、くらべる |
| 4時 | 実験用てこで、手ごたえをおもりの数で表す方法を考える | 「手ごたえを数で表すには?」を班で話し合う |
| 5時 (本時) |
実験用てこが水平につり合うときのきまりを調べる | つり合ったパターンを黒板に集め、きまりを話し合う |
| 6時 | 見つけたきまりを使って、つり合う位置や重さを予想し、確かめる | 「きまりが本当なら、ここに何個でつり合うはず」と説明し合う |
| 7〜8時 | 身の回りのてこを利用した道具を調べ、支点・力点・作用点の位置でくらべる | 道具を実際に使い、どこが支点かを友達に説明する |
| 9時 | てこを利用したおもちゃや道具をつくる | きまりを使ったくふうを紹介し合う |
| 10時 | 学習をふり返り、学んだことをまとめる | 単元のはじめの体験を、きまりを使って説明し直す |
本時の指導案(てこがつり合うときのきまり)
本時は、実験用てこを使って、うでが水平につり合うときのきまりを見つける時間です。「左うでの目盛り6におもりを1個つるすと、右うでのどこに何個つるせばつり合う?」と問い、班でいろいろなつり合い方を見つけます。集まったパターンをくらべながら、「おもりの重さ×支点からのきょり」が左右で等しいときにつり合うことを、子どもの言葉で見つけていきます。
- 本時の目標:実験用てこがつり合うときの、おもりの重さと支点からのきょりの関係について、結果をもとにより妥当な考えをつくりだし、表現する。
- めあて(子どもの言葉で):てこが水平につり合うときのきまりを見つけよう。
- 準備する物:実験用てこ、10gのおもり(班に6個ずつ)、パターンを書く短冊、ワークシート
| 段階 | 学習活動と主な発問 | 予想される子どもの反応 | 留意点・話す工夫 |
|---|---|---|---|
| 導入 (7分) |
①左うでの目盛り6におもりを1個つるした実験用てこを見せる。 ②右うでにおもりを1個つるし、つり合う位置を確かめる。 発問:おもりを増やしても、つり合わせることはできるかな? |
「右も6につるせばつり合う」「2個にしたら近くにすればいいかも」「どこでもつり合うのかな」 | 「水平につり合う」の意味を全員で確かめる。左うではずっと変えないことを約束する。 |
| 展開1 (15分) |
③班で、右うでのおもりの数と位置を変えて、つり合うパターンをできるだけたくさん見つける。 ④つり合ったパターンを短冊に書いて黒板にはる。 |
「目盛り3に2個でつり合った」「2に3個も」「1に6個もいけた」「4に2個はだめだった」 | つり合わなかったパターンも別の場所にはり、くらべられるようにする。おもりは同じ目盛りに重ねてつるすことを確かめる。 |
| 展開2 (15分) |
⑤黒板のパターンを見て、つり合うときのきまりを考える。 発問:つり合ったパターンには、どんなきまりがありそう? |
「位置が半分になると、おもりは2倍」「目盛り×おもりの数がいつも6になる」「たし算では説明できないパターンがある」 | 出てきた見方を、すべてのパターンで確かめさせる。「〇〇さんの考え、どういうことか分かる?」と全体に広げる。 |
| まとめ (8分) |
⑥分かったことをまとめる。 ⑦きまりを使って、ほかのつり合い方を予想する。 |
「おもりの重さ×支点からのきょりが左右で等しいとき、てこは水平につり合う」 | まとめの言葉は子どもと吟味する。次の時間に「左うでを変えても成り立つか」を確かめることを予告する。 |
板書の例
- 目盛り6 に 1個
- 目盛り3 に 2個
- 目盛り2 に 3個
- 目盛り1 に 6個
- 重さ×きょりが
- 左右で 等しいと
- 水平に つり合う
板書では、左につり合ったパターン、真ん中にきまりを考えたこと、右に分かったことを書きます。真ん中につり合わなかったパターンも小さく書いておくと、「なぜこれはだめなのか」をきまりで説明でき、考えが確かなものになります。
ワークシート
本時で使えるワークシートです。つり合うパターンを記録する表、きまりを考える欄、まとめ、きまりを使って予想する欄があります。印刷してそのまま使えます(A4)。

6年生が主体的に話し合う5つの工夫
「〇〇のパターンを見ると、〜だから、〜というきまりがあると思います。」
「そのきまりだと、〇〇のパターンも説明できます。」
つまずきやすいポイントと手立て
| つまずき | 手立て |
|---|---|
| 支点・力点・作用点の区別があいまいになる | 体験した棒の写真や図に、3つの点をシールで示す。毎時間、図にかきこんで確かめる。 |
| 「たし算」のきまりで考えてしまう | つり合ったパターンすべてに当てはまるかを確かめさせる。当てはまらない例を子どもに見つけさせる。 |
| おもりを別々の目盛りにつるして、混乱する | 本時は、右うでのおもりを同じ目盛りに重ねてつるすことを約束する。いくつかの目盛りに分けるのは、次の時間の発展として扱う。 |
| きまりが道具とつながらない | はさみやせんぬきの写真に支点・力点・作用点をかきこませ、「どこを持つと楽か」をきまりで説明させる。 |
棒で重い物を持ち上げる体験では、棒が外れたり、物が落ちたりしないように注意が必要です。持ち上げる高さを低くし、足の上に物を落とさないように、場所と動きを事前に確かめておきましょう。
先生たちの実践例
実践1|つり合ったパターンからきまりを見つける(高知大学教育学部附属小学校)
高知大学教育学部附属小学校の石原将司先生の指導案(全10時間)では、単元のはじめに「にんじんを水平につり合わせるには?」と問いかけ、問題を見いだしています。本時(第5時)では、左うでの目盛り6におもりを1個つるし、各班がつり合うパターンを見つけます。子どもの「かけ算になってる」「たし算になってる」などのつぶやきを取り上げて、「何かきまりがありそう」という思いを引き出し、仮説を立ててから実験に向かっています。友達の発言を「どういうことか分かる?」と全体に問い返す工夫も特徴です。
つり合ったパターンを画用紙に書いて黒板にはり出すと、班をこえてデータが集まり、クラス全体できまりを話し合えます。
実践2|手ごたえを数にして、ほかの教科とつなげる(茨城県教育研修センター 長期研修)
茨城県教育研修センターの長期研修で作成された千葉智未先生の指導案(全10時間)では、ピラミッドの写真から「重い物をどうやって持ち上げたのか」を話し合い、10kgの砂ぶくろを棒で持ち上げる課題を設定しています。感覚で捉えていた手ごたえを、実験用てこのおもりで数として表し、その結果を算数の反比例のグラフに表しています。単元の終わりには、国語の学習とつなげて、てこのよさを保護者に伝える文章を書いているのも工夫です。

よくある質問
Q. この単元は何時間扱いが多いですか?
A. 公開されている指導案では、全10時間前後で計画している例が見られます。学校の年間指導計画と指導書で確認してください。
Q. 「重さ×きょり」のきまりは、先生が教えてもいいですか?
A. 子どもが見つけられるように、つり合うパターンをたくさん集めることをおすすめします。きまりを自分たちで見つけると、次の時間の予想や、道具のしくみの説明にも使えるようになります。
Q. 算数の比例・反比例とはどうつなげればいいですか?
A. 右うでの目盛りとおもりの数の関係は、積が一定になる反比例の関係です。算数の学習時期に合わせて、実験の結果を表やグラフに表すと、教科をこえて学びがつながります。
Q. 実験用てこが足りないときは、どうすればいいですか?
A. ものさしと消しゴムの支点、同じ大きさのクリップやコインのおもりでも、つり合いのきまりを調べられます。目盛りの位置がずれないように、ものさしの目盛りを使うのがポイントです。

