鳥獣戯画を読む 指導案|子どもが主体的に話し合う単元計画と本時の展開【光村6年】

「『鳥獣戯画』を読むの指導案を書かなくちゃいけない」「筆者の工夫を探しても、子どもが線を引くだけで終わってしまう」「6年生らしく、筆者の主張について自分の考えを話し合わせたい」。6年生の国語を担当する先生から、よく聞く悩みです。

この記事では、光村図書6年の説明文「『鳥獣戯画』を読む」(高畑勲 文)の指導案を、子どもが主体的に話し合う授業を軸にまとめました。単元計画、本時(筆者の主張への納得度)の展開と板書例、日本文化の魅力を伝える文章へのつなげ方と、先生たちの実践を紹介します。

放課後の教室で、動物の墨絵を印刷した紙や赤ペン・青ペンを机に置いて「『鳥獣戯画』を読む」の教材研究をする先生
この記事でわかること

  • 「『鳥獣戯画』を読む」の教材研究のポイント(論の展開、絵と文の対応、表現の工夫)
  • 単元の目標と評価規準
  • 単元計画(全10時間)と、日本文化の魅力を伝える文章へのつなげ方
  • 本時(筆者の主張に納得できる?)の指導案と板書例
  • 6年生が主体的に話し合うための5つの工夫と、先生たちの実践例

この記事は、全国の小学校教員が実践を学び合うオンラインコミュニティ「授業てらす」が、公開されている指導案や先生たちの実践をもとに編集しています(2026年10月時点)。教科書の本文は掲載していません。

目次

『鳥獣戯画』を読むの教材研究

「『鳥獣戯画』を読む」は、アニメーション映画監督の高畑勲さんが、国宝「鳥獣人物戯画」の一場面を取り上げ、その絵のすばらしさを読者に語りかけるように伝える文章です。絵の描写と筆者の評価をくり返しながら、最後に筆者の強い主張へとつなげていきます。

『鳥獣戯画』を読むの論の展開

まとまりごとの「話したくなるポイント」

書き出し 話題の提示をせず、いきなり絵の場面から読者を引きこむ
ポイント:説明文なのに、なぜ「はじめ」がないの?
前半 漫画やアニメにもつながる絵だと示し、読者の興味を引く
ポイント:なぜ、今の漫画やアニメの話から始めたの?
中心 蛙と兎の相撲の場面を、線や表情など具体的なところに目をつけて描写し、評価する
ポイント:筆者はどこに目をつけ、どんな言葉でほめている?
後半 絵巻物の時間の流れや、長い歴史の中での価値を解説する
ポイント:絵を2つに分けて見せたのはなぜ?
結び この絵巻物は、国の宝であるだけでなく人類にとっての宝だという主張
ポイント:この主張に、あなたはどのくらい納得できる?
読みの軸は「筆者はどうやって読者を納得させようとしているか」

この教材のいちばんの話し合いどころは、絵と文章を照らし合わせながら、筆者の「着眼点」と「評価の言葉」を見つけ、それが最後の主張をどう支えているかを考えることです。語りかける言い方、体言止め、絵の見せ方など表現の工夫も多く、自分が書く文章にそのまま生かせます。

説明文の教材研究の進め方は、説明文の教材研究の仕方で、5年生の説明文は想像力のスイッチを入れよう 指導案、6年生の物語は海の命 指導案で紹介しています。

単元の目標と評価規準

学習指導要領(5・6年「C 読むこと」「B 書くこと」)の指導事項をもとに、単元名を「筆者の工夫をとらえて読み、それをいかして書こう」(例)として、目標と評価規準を次のように設定します。

観点 評価規準(例)
知識・技能 比喩や反復などの表現の工夫に気付いている。
思考・判断・表現 「読むこと」において、目的に応じて、文章と図表などを結び付けるなどして必要な情報を見付けたり、論の進め方について考えたりしている。
「書くこと」において、引用したり、図表やグラフなどを用いたりして、自分の考えが伝わるように書き表し方を工夫している。
主体的に学習に
取り組む態度
進んで筆者の表現の工夫をとらえ、学習の見通しをもって、日本文化の魅力を伝える文章を書こうとしている。

※学習指導要領 国語 第5学年及び第6学年の「知識及び技能」(1)ク、「思考力、判断力、表現力等」B書くこと エ、C読むこと ウ をもとにした例です。

単元計画(全10時間)

公開されている指導案では、書く学習とあわせて10〜11時間で計画している例が多く見られます。ここでは、筆者の工夫を読み取り、それを生かして「日本文化の魅力を伝える文章」を書くことをゴールにした10時間の計画を紹介します。

次・時 主な学習活動 子どもが話す工夫
第1次
1時
絵だけを見て気づいたことを出し合い、題名の「読む」の意味を考える 「絵なのに、なぜ『読む』?」を話し合う
第1次
2時
全文を読んで魅力を交流し、単元のゴールと学習計画を決める 主張にどのくらい納得したかを数字で表す
第2次
3時
絵と文章を照らし合わせ、筆者の着眼点と評価の言葉に色を分けて線を引く ペアで「どこを見て、どうほめている?」を確かめる
第2次
4時
語りかけ、体言止め、絵の見せ方など、表現の工夫を見つける 見つけた工夫に名前をつけて紹介し合う
第2次
5時
(本時)
論の展開をたどり、筆者の主張への納得度を考える 「納得できる?」と立場を決めて話す
第3次
6時
引用や出典の示し方を学び、伝えたい日本文化を選ぶ 選んだ理由を友達に話す
第3次
7・8時
情報を集めて構成メモをつくり、文章を書く 構成メモを見せ合い、助言し合う
第3次
9時
下書きを推敲する 「どこを、なぜ直したか」を伝え合う
第3次
10時
文章を読み合い、筆者の主張への納得度をもう一度考える 書いてみて納得度が変わったかを伝え合う
2時と10時に同じ「納得度」をたずねるのがポイントです。自分で文章を書いて魅力を伝える難しさを体験すると、筆者の工夫の見え方が変わり、単元のはじめと終わりで考えが深まったことを子ども自身が実感できます。

本時の指導案(筆者の主張と論の展開)

本時は、文章全体の論の展開をたどり、最後の主張にどのくらい納得できるかを考える時間です。「納得できる?」と自分の立場をはっきりさせてから話し合うと、6年生でも筆者の工夫を根拠にして意見を交わせます。

  • 本時の目標:筆者の主張とそれを支える論の展開や表現の工夫を結び付けて読み、主張への納得度について考えを伝え合う。
  • めあて(子どもの言葉で):筆者の主張に納得できるか、論の進め方から考えよう。
段階 学習活動と主な発問 予想される子どもの反応 留意点・話す工夫
導入
(5分)
①2時に書いた納得度をふり返り、めあてを確かめる。 「最初は『大げさ』と思っていた」「ちょっと納得した」 2時の納得度の分布を掲示し、考えにちがいがあることを確かめる。
展開1
(15分)
②段落ごとの役割を短い言葉で書き、論の展開を図に整理する。
発問:筆者は、どんな順番で読者を主張へ連れていっている?
「絵の話 → 今の漫画とのつながり → くわしい読み方 → 歴史 → 主張」 前時までの赤線(着眼点)と青線(評価)を手がかりにさせる。
展開2
(20分)
③納得度を5段階で選び、グループ → 全体で話し合う。
発問:「人類にとっての宝」という主張に、どのくらい納得できる?
「歴史の話があるから納得できる」「ほめ言葉が多くて、少し言いすぎに感じる」「絵を自分でも読めたから納得した」 ネームプレートを数直線に貼らせる。納得度の低い意見も認め、「どこがあれば、もっと納得できる?」と問い返す。
まとめ
(5分)
④自分が文章を書くときに使いたい工夫をノートに書く。 「具体的に目をつけたところを書いてから、評価を書く」 次時からの「日本文化の魅力を伝える文章」につなげる。

板書の例

筆者の 主張に 納得できるか、論の 進め方から 考えよう
論の 進め方
  • いきなり 絵の 場面
  • 今の 漫画との つながり
  • 着眼点 → 評価の くり返し
  • 絵巻物の 歴史
  • 結びで 主張
少しずつ 主張へ
どのくらい 納得?
5 とても
⇔
1 あまり
(ネームプレート)
使いたい 工夫
  • 着眼点を 具体的に 書く
  • 評価の 言葉で 気持ちを 伝える
  • 読者に 語りかける
自分の 文章に 生かす

板書では、左に論の進め方、右に子どもが「使いたい」と思った工夫を書き、真ん中に納得度の数直線を置きます。納得度が高い子と低い子の理由を比べると、筆者の工夫の効き目と限界の両方が見え、書く学習への意欲につながります。

6年生が主体的に話し合う5つの工夫

1「なぜ『読む』なの?」から始める絵なのに「見る」ではなく「読む」なのはなぜかを考えると、筆者の絵の見方に興味をもって読み始められます。
2着眼点と評価で線の色を分ける筆者が目をつけたところと、ほめている言葉を色で分けると、絵と文を照らし合わせながら根拠をもって話せます。
3納得度を数字で表す「納得できる?」を5段階で表すと、全員が自分の立場をもち、ちがいから話し合いが生まれます。
4筆者の読み方で別の場面を読む教科書にない場面の絵を、筆者と同じように「着眼点 → 評価」で読んでみると、読み方が自分のものになります。
5書いてから、もう一度読む自分で魅力を伝える文章を書いたあとに読み直すと、筆者の工夫のすごさを実感をもって語れます。
使える話型
「わたしの納得度は〜です。〜段落で、筆者が『〜』と書いているからです。」
「〇〇さんの意見を聞いて、〜という点では納得度が上がりました。」

先生たちの実践例3選

実践1|主張への「納得度」をたずね、書いたあとに見直す(広島県・福山市立神辺小学校)

広島県で公開されている石井ひとみ先生の指導案(全10時間)では、絵と文章を照らし合わせて筆者が示す価値と表現の工夫を整理し、主張の段落とほかの段落のつながりを考えています。そのあと自分で選んだ日本文化の魅力を伝える文章を書き、最後に「魅力のある日本文化は『鳥獣戯画』だけか」「文章を書いて、筆者の主張への納得度は変わったか」と問いかけて、考えを深めています。

まねするなら
単元のはじめに書いた納得度を残しておき、最後に「書いてみて、納得度は変わった?」と聞いてみましょう。

実践2|着眼点は赤、評価は青で線を引く(埼玉県の小学校)

埼玉県が公開している指導案(全11時間)では、筆者の着眼点に赤線、評価に青線を引き、絵と照らし合わせながら論の展開や表現の工夫をまとめています。その工夫を生かして日本文化を紹介するパンフレットをつくり、推敲の時間にはロイロノートで下書きを共有して、「どこを、なぜ直したか」を具体的に伝え合っています。

実践3|工夫を見つける「読み方」を子どもが決める(山口大学教育学部附属光小学校)

山口大学教育学部附属光小学校の市川景一朗先生の指導案(全10時間)では、はじめに自分の好きなものの魅力を紹介する文章を書いてから教材を読みます。本時では、筆者がほめている箇所に印をつけるなど、工夫を見つけるための読み方を既習の学習から子どもが考え、文章構成や語りかける言い方、ほめる言葉に着目しています。

「『鳥獣戯画』を読む」の授業で、絵と赤と青の線を引いたプリントを見ながら話し合う6年生

よくある質問

Q. 『鳥獣戯画』を読むは何時間扱いが多いですか?

A. 公開されている指導案では、日本文化の魅力を伝える書く学習とあわせて10〜11時間で計画している例が多く見られます。学校の年間指導計画と、教科書会社の指導書で時数を確認してください。

Q. 筆者の工夫を探しても、線を引くだけで終わってしまいます。

A. 「どこに目をつけたか(着眼点)」と「どう評価したか」を色で分け、絵と一対一で照らし合わせましょう。見つけた工夫に名前をつけ、自分の文章で使う場面までつなげると、工夫を探す目的がはっきりします。

Q. 書く学習では、どんな題材を選ばせればいいですか?

A. 和食、祭り、伝統工芸、地域の行事など、子どもが調べやすく、絵や写真と結び付けて説明できる日本文化がおすすめです。引用や出典の示し方もあわせて指導しましょう。

Q. ワークシートや指導案に本文や絵を載せてもいいですか?

A. 授業で使うために必要な範囲であれば、著作権法で認められています。ただし、学校のホームページなど、外に公開する場合は扱いが変わるので注意しましょう。

参考にした情報

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