「骨と筋肉の単元の指導案を書かなくちゃいけない」「腕をさわらせても、『かたい』『やわらかい』で終わってしまう」「筋肉がちぢむのか、のびるのか、子どもが混乱する」。4年生の理科を担当する先生から、よく聞く悩みです。
この記事では、4年理科の単元「わたしたちの体と運動」(人の体のつくりと運動)から、腕を曲げのばしするときの筋肉のはたらきを調べる時間の指導案を、子どもが主体的に話し合う授業を軸にまとめました。教材研究のポイント、単元計画、本時の展開と板書例、そのまま使えるワークシート、先生たちの実践を紹介します。

- 「力こぶ=筋肉がふくらむ」という見方を、問いに変える教材研究のポイント
- 単元の目標と評価規準
- 単元計画(全7時間)
- 本時(腕の筋肉のはたらき)の指導案と板書例、ワークシート
- 4年生が主体的に話し合う5つの工夫と、先生たちの実践例
この記事は、全国の小学校教員が実践を学び合うオンラインコミュニティ「授業てらす」が、公開されている指導案や先生たちの実践をもとに編集しています(2026年10月時点)。
骨と筋肉の単元の教材研究
4年生の子どもは、腕を曲げると「力こぶ」ができることを知っています。でも、そのとき筋肉がちぢんでいるのかのびているのかを聞くと、意見が分かれます。「ふくらむから、のびている」と考える子も少なくありません。さらに、腕の内側だけでなく外側の筋肉も動いていることには、ほとんどの子が気づいていません。
腕を曲げる・のばすとき、筋肉はどうなる?
内側と外側の筋肉が、交代でちぢんだりゆるんだりする
| 骨 | いつもかたい。体をささえる ポイント:さわって「どこをおしてもかたい所」を探す |
|---|---|
| 関節 | 骨と骨のつなぎ目。ここで曲がる ポイント:ひじは一方向にしか曲がらないことに気づかせる |
| 腕を曲げるとき | 内側の筋肉がちぢむ(かたくなる)・外側がゆるむ ポイント:「ふくらむ=のびる?」がいちばん話し合いが生まれる |
| 腕をのばすとき | 外側の筋肉がちぢむ・内側がゆるむ ポイント:外側の筋肉に気づくと、しくみが一気につながる |
大切なのは、筋肉の名前を覚えることではなく、自分の腕をさわった「かたさの変化」を根拠にして考えることです。さわった事実(かたくなった・やわらかくなった)と、模型で見える動き(ちぢむ・ゆるむ)を結びつけると、子ども自身が「筋肉はちぢんで骨を引っぱっている」というしくみにたどり着けます。
3年生の理科は3年理科「じしゃくのふしぎ」指導案、算数は小学校算数 指導案一覧でも紹介しています。
単元の目標と評価規準
学習指導要領(第4学年「B 生命・地球」(1) 人の体のつくりと運動)の内容をもとに、目標と評価規準を次のように設定します。
| 観点 | 評価規準(例) |
|---|---|
| 知識・技能 | 人の体には骨と筋肉があること、人が体を動かすことができるのは、骨、筋肉の働きによることを理解している。自分の体にふれたり、模型や資料を使ったりして調べ、結果を記録している。 |
| 思考・判断・表現 | 人や他の動物の骨や筋肉のつくりと働きについて、既習の内容や生活経験をもとに、根拠のある予想や仮説を発想し、表現している。 |
| 主体的に学習に 取り組む態度 |
人や他の動物の体のつくりと運動について進んで調べ、学んだことを生活に生かそうとしている。 |
※学習指導要領 理科 第4学年「B 生命・地球」(1) をもとにした例です。
単元計画(全7時間)
公開されている指導案では、この単元を全6〜8時間で計画している例が見られます。ここでは、全7時間の例を紹介します。時数は学校の年間指導計画と指導書で確認してください。
| 時 | 主な学習活動 | 子どもが話す工夫 |
|---|---|---|
| 1時 | 体を動かして、どこが曲がるか、どこがかたいかを調べ、問題をつくる | 腕を段ボールの筒で固定し、「曲がらないと困ること」を出し合う |
| 2時 | 腕をさわって、骨・筋肉・関節のつくりを調べる | 「いつもかたい所」「かたさが変わる所」「曲がる所」を分けて話す |
| 3時 (本時) |
腕を曲げのばしするとき、筋肉がどうなっているかを調べる | 「筋肉はちぢむ?のびる?」の予想から話し合う |
| 4・5時 | 体のほかの部分(足・肩・首・指など)の骨と筋肉を調べる | 部分ごとに分担して調べ、コーナーで説明し合う |
| 6時 | 動物の体のつくりと動き方を調べ、人とくらべる | 「人と同じところ・ちがうところ」を話し合う |
| 7時 | 学んだことをまとめ、運動や生活とつなげる | 体育やスポーツの動きを、骨と筋肉で説明する |
本時の指導案(腕の筋肉のはたらき)
本時は、腕を曲げのばしするときに、筋肉がどのようにはたらいているかを調べる時間です。調べる前に「腕を曲げるとき、内側の筋肉はちぢむ? のびる?」と予想させ、自分の腕をさわった感覚を根拠に話し合います。答えを教えるより、「筋肉がちぢんで骨を引っぱる」というしくみに子ども自身が気づくことを大切にします。
- 本時の目標:腕を曲げのばしするときの筋肉の様子を調べ、筋肉がちぢんだりゆるんだりすることで腕が動くことを理解する。
- めあて(子どもの言葉で):うでを曲げたりのばしたりするとき、きん肉はどうなっているのか調べよう。
- 準備する物:腕の模型(工作用紙とゴムやひもで作る)、腕の輪郭をかいたワークシート、骨格模型や資料の写真、タブレット(動画撮影用)
| 段階 | 学習活動と主な発問 | 予想される子どもの反応 | 留意点・話す工夫 |
|---|---|---|---|
| 導入 (7分) |
①前の時間に調べた骨・筋肉・関節をふり返る。 ②重い物を持って腕を曲げ、力こぶをさわる。 ③めあてを確かめる。 |
「力こぶがかたくなった」「ふくらんだ」「のばすとやわらかくなる」 | ランドセルや水を入れたペットボトルなど、重さを感じる物を用意する。 |
| 展開1 (12分) |
④腕を曲げるときの筋肉の様子を予想する。 発問:腕を曲げるとき、内側の筋肉はちぢむ? のびる? |
「ふくらむから、のびている」「かたくなるから、ちぢんでいる」「外側の筋肉はどうなっているの?」 | ネームプレートで立場を黒板に表す。予想はワークシートの腕の図に矢印でかかせる。 |
| 展開2 (18分) |
⑤ペアで腕の内側と外側をさわりながら曲げのばしし、かたさの変化を記録する。 ⑥腕の模型を動かし、自分の腕とくらべる。 発問:のばすときに、はたらいている筋肉はどこ? |
「曲げると内側がかたくなって、外側はやわらかい」「のばすと外側がかたくなった」「模型だと、ゴムがちぢむと腕が曲がる」 | 内側と外側を交代でさわるよう声をかける。かたさの変化と模型の動きを、表で並べて書かせる。 |
| まとめ (8分) |
⑦分かったことをまとめる。 ⑧足や指はどうなっているか予想し、ふり返りを書く。 |
「筋肉はちぢんで骨を引っぱる」「内側と外側が交代ではたらく」「足も同じしくみかな」 | まとめは子どもの言葉で書く。次の時間の「体のほかの部分」につなげる。 |
板書の例
- ふくらむから のびる
- かたくなるから ちぢむ
- 外側の きん肉は?
- きん肉が ちぢむと かたくなる
- ちぢんで 骨を 引っぱる
- 内側と外側が 交代で はたらく
板書では、左に予想、真ん中に結果、右に分かったことを書きます。結果は「曲げる」「のばす」に分けて腕の図を貼り、かたくなった筋肉に色をぬると、内側と外側が交代ではたらいていることが目で見て分かります。
ワークシート
本時で使えるワークシートです。予想を選ぶ欄、腕の図にかたくなる筋肉の予想をぬる欄、さわって調べた結果の表、まとめとふり返りの欄があります。印刷してそのまま使えます(A4)。

4年生が主体的に話し合う5つの工夫
「わたしは、きん肉は〜と思います。わけは、さわったら〜だったからです。」
「〇〇さんの予想とちがって、のばすときは外側が〜になりました。」
つまずきやすいポイントと手立て
| つまずき | 手立て |
|---|---|
| 力こぶがふくらむから、筋肉は「のびている」と考える | 筋肉の長さに注目させ、模型で「ちぢむと太くなる」ことを確かめる。ゴムをちぢめると太くなる様子を見せてもよい。 |
| 腕の内側の筋肉しか意識していない | 「のばすときは、どこがはたらいている?」と問い、外側(腕の後ろ側)をさわらせる。 |
| 筋肉が骨を「おしている」と考える | 模型で、ゴム(筋肉)が骨を引っぱって腕が曲がる様子を見せる。 |
| かたさの変化が分かりにくい | 重い物を持たせる。力を入れたときと、ぬいたときをくらべさせる。 |
体にさわる活動では、さわられたくない子への配慮も大切です。自分の腕だけで調べる、同性のペアにするなど、学級の実態に合わせて組み合わせを考えておきましょう。
先生たちの実践例
実践1|段ボールの筒で「曲がらない腕」を体験する(宮城県総合教育センター)
宮城県総合教育センターの授業案(全6時間)では、単元のはじめに腕を段ボールの筒で固定し、コップで水を飲むなどの動作をして、動きにくさを体験させています。そのうえで「人は、どのようにして腕を動かしているのだろうか」という問題をつくり、予想を腕の輪郭図に図でかかせています。紙に自分の腕や手を写し、曲がるところにシールを貼ってから骨をかく方法も示されています。
本時の前に「曲がらない腕」を体験しておくと、「関節があるから曲がる」「筋肉が動かしている」という予想が、体験を根拠に出てきます。
実践2|工作用紙とクリップで腕の模型をつくる(お茶の水女子大学 公開教材)
お茶の水女子大学のサイトで公開されている筋肉モデルの教材では、工作用紙で作った腕に、ダブルクリップで筋肉を表す部分を子ども自身が取りつけます。2人1組で、自分の腕をさわって骨・筋肉・関節を調べたあと、模型を組み立てて腕を曲げたときとのばしたときの様子を自分の腕とくらべ、内側と外側の筋肉がちぢんだりゆるんだりすることをとらえる流れです。

よくある質問
Q. 骨と筋肉の単元は何時間扱いが多いですか?
A. 公開されている指導案では、全6〜8時間で計画している例が見られます。体のほかの部分や動物の体をどこまで調べるかで時数が変わるので、学校の年間指導計画と指導書で確認してください。
Q. 腕の模型は、どう作ればいいですか?
A. 工作用紙で上腕と前腕の2枚を作り、割りピンでつないで関節にします。内側と外側にゴムやひもを取りつけると、ちぢむと腕が曲がる様子を確かめられます。市販の模型を使う場合も、子どもが自分で動かせる数を用意すると話し合いが深まります。
Q. 「筋肉」と「きん肉」、どちらの表記を使えばいいですか?
A. 4年生では「肉」は既習ですが「筋」は未習のため、教科書では「きん肉」と表記されていることが多いです。使っている教科書の表記に合わせましょう。
Q. 体育の学習とつなげられますか?
A. 単元のまとめで、なわとびや鉄棒などの動きを「どこの筋肉がちぢんでいるか」で説明させると、学んだことが生活とつながります。準備運動のストレッチで、のびている筋肉を意識させるのも効果的です。

