風船でうちゅうへ 指導案|子どもが主体的に話し合う単元計画と本時の展開【光村4年】

「風船でうちゅうへの指導案を書かなくちゃいけない」「新しい教材で、参考になる実践が少ない」「要約が、ただの書き写しになってしまう」。4年生の国語を担当する先生から、よく聞く悩みです。

この記事では、光村図書4年下の説明文「風船でうちゅうへ」の指導案を、子どもが主体的に話し合う授業を軸にまとめました。単元計画、本時(興味を中心にした要約)の展開と板書例、紹介文へのつなげ方と、先生たちの実践を紹介します。

放課後の教室で、短冊カードや風船を机に置いて「風船でうちゅうへ」の教材研究をする先生
この記事でわかること

  • 「風船でうちゅうへ」の教材研究のポイント(時間の順序、失敗と工夫、尾括型)
  • 単元の目標と評価規準
  • 単元計画(全8時間)と、興味をもったことの紹介文へのつなげ方
  • 本時(要約に入れる言葉を選ぶ)の指導案と板書例
  • 4年生が主体的に話し合うための5つの工夫と、先生たちの実践例

この記事は、全国の小学校教員が実践を学び合うオンラインコミュニティ「授業てらす」が、公開されている授業づくりの資料や先生たちの実践をもとに編集しています(2026年10月時点)。教科書の本文は掲載していません。

目次

風船でうちゅうへの教材研究

「風船でうちゅうへ」は、筆者の岩谷圭介さんが「宇宙へ行くものを自分で作りたい」と考え、カメラをつけた風船で宇宙を撮影することに挑戦した過程を、時間の順に書いた文章です。失敗と工夫をくり返しながら目標に近づいていく展開なので、4年生が「どこに興味をもったか」を語りたくなる教材です。

風船でうちゅうへの組み立て

まとまりごとの「話したくなるポイント」

はじめ 宇宙へ行くものを自分の手で作りたいという、筆者の思い
ポイント:題名を見て「風船で宇宙?」と思ったのはなぜ?
中 風船とカメラで撮影に挑み、うまくいかなかったことと、それを乗りこえる工夫が、時間の順に書かれている
ポイント:いちばん「すごい」と思った工夫はどれ?
中の書かれ方 挑戦ごとに「やってみたこと → 起きた問題 → 次の工夫」の形がくり返される
ポイント:同じ形で書かれていると、何が分かりやすい?
おわり 挑戦をふり返って、筆者がいちばん伝えたい考え
ポイント:筆者の考えが最後だけに書いてあるのはなぜ?
読みの軸は「自分が興味をもったこと」を中心に読むこと

この教材のいちばんの話し合いどころは、同じ文章を読んでも、子どもによって興味をもつところがちがうことです。失敗の場面に引かれる子もいれば、工夫の中身や筆者の思いに引かれる子もいます。そのちがいが、要約に入れる言葉のちがいになり、話し合いの材料になります。筆者の考えが文章の終わりにだけ書かれている「尾括型」であることも、構成を考える時間に確かめておきましょう。

説明文の教材研究の進め方は、説明文の教材研究の仕方で、3年生の説明文はすがたをかえる大豆 指導案、4年生の物語はごんぎつね 指導案で紹介しています。5年生の説明文は想像力のスイッチを入れよう 指導案へ続きます。

単元の目標と評価規準

学習指導要領(3・4年「C 読むこと」)の指導事項をもとに、単元名を「きょうみをもったことを中心に、しょうかいしよう」として、目標と評価規準を次のように設定します。

観点 評価規準(例)
知識・技能 考えとそれを支える理由や事例、全体と中心など、情報と情報との関係について理解している。
思考・判断・表現 「読むこと」において、目的を意識して、中心となる語や文を見つけて要約している。
「読むこと」において、文章を読んで理解したことに基づいて、感想や考えをもっている。
主体的に学習に
取り組む態度
進んで興味をもったことを中心に要約し、学習の見通しをもって、紹介する文章を書こうとしている。

※学習指導要領 国語 第3学年及び第4学年の「知識及び技能」(2)ア、「思考力、判断力、表現力等」C読むこと ウ・オ をもとにした例です。

単元計画(全8時間)

公開されている授業づくりの資料では、全8時間で計画し、興味をもったことを中心に要約して紹介文を書く単元が紹介されています。ここでは、テーマの近い友達と読み深め、最後にテーマのちがう友達と読み合う8時間の計画を紹介します。

次・時 主な学習活動 子どもが話す工夫
第1次
1時
題名から内容を予想し、全文を読んで、興味をもったことを書く 「風船で宇宙なんて無理でしょ?」と予想を言い合う
第2次
2時
「はじめ・中・おわり」に分け、筆者の考えがどこにあるかを確かめる 「考えは最後だけ?」と根拠を出し合う
第2次
3時
「中」を挑戦ごとに「やったこと・問題・工夫」で表に整理する ペアで表を見せ合い、ぬけている工夫を探す
第2次
4時
興味をもったテーマでグループをつくり、大事な言葉を書きぬく 「どうしてその言葉を選んだの?」とたずね合う
第2次
5時
(本時)
要約に入れる言葉を選ぶ 「この言葉、入れる?入れない?」と立場を決めて話す
第3次
6・7時
200字程度で要約し、自分の感想を加えて紹介文を書く 友達に読んでもらい、伝わりにくいところを聞く
第3次
8時
テーマのちがう友達と紹介文を読み合い、単元をふり返る 「同じ文章なのに、選んだところがちがう」と気づきを伝える
3時でつくる「やったこと・問題・工夫」の表は、要約の材料になります。どの挑戦のどの工夫に興味をもったかを、表を見ながら選ばせると、4年生でも要約の中心を決めやすくなります。

本時の指導案(要約に入れる言葉)

本時は、興味をもったことを中心に要約するために、どの言葉を入れるかを考える時間です。「この言葉は、要約に入れる?入れない?」とあえて選ばせると、4年生でも本文を根拠にして話し合え、要約が書き写しで終わらなくなります。

  • 本時の目標:自分が興味をもったことを中心に要約するために、中心となる語や文を選び、選んだ理由を友達と伝え合う。
  • めあて(子どもの言葉で):きょうみの中心に合う言葉をえらぼう。
段階 学習活動と主な発問 予想される子どもの反応 留意点・話す工夫
導入
(5分)
①前時に書きぬいた言葉と、グループのテーマを確かめる。 「ぼくたちは『失敗から工夫したこと』がテーマ」 テーマごとにカードを色分けしておく。
展開1
(10分)
②教師が示す言葉のカードを見て、自分のテーマに合うかを考える。
発問:この言葉は、あなたの要約に入れる?入れない?
「工夫のテーマだから入れる」「その言葉は、筆者の思いのテーマの人に必要」 同じ言葉でも、テーマによって答えが変わることを予想させる。
展開2
(20分)
③グループ → 全体で話し合う。
発問:同じ言葉なのに、入れる人と入れない人がいるのはなぜ?
「興味をもったことがちがうから」「何を伝えたいかで、大事な言葉が変わる」 ネームプレートで立場を示させる。理由を本文の言葉で言えている子を取り上げる。
まとめ
(10分)
④自分の要約に入れる言葉を3〜5個に決め、理由を書く。 「『あきらめずに』は入れる。ぼくのテーマの中心だから」 次時に200字程度で要約することを伝える。

板書の例

きょうみの 中心に 合う 言葉を えらぼう
グループの テーマ
  • 失敗と 工夫
  • 筆者の 思い
  • 宇宙の 写真
テーマごとに カードの色を 分ける
要約に 入れる?
入れる
⇔
入れない
(ネームプレート)
わかったこと
  • きょうみが ちがうと 大事な 言葉も ちがう
  • 何を 伝えたいかで えらぶ
  • 理由は 本文の 言葉で 言う
要約は 書き写しでは ない

板書では、左にグループのテーマ、右に子どもが気づいたことを書き、真ん中に「要約に入れる?」を置きます。最後に「興味の中心によって選ぶ言葉が変わる」とまとめると、次の時間の要約が自分の言葉になりやすくなります。

4年生が主体的に話し合う5つの工夫

1題名への「えっ?」から始める「風船で宇宙なんて無理じゃない?」という疑問が、最後まで読みたい気持ちにつながります。
2挑戦ごとに表で整理する「やったこと・問題・工夫」の表にすると、長い文章でも中身をつかみやすくなり、話し合いの土台になります。
3「入れる?入れない?」と選ばせる言葉を選ぶ問いなら、根拠をもって自分の立場を決められ、話し合いに入りやすくなります。
4テーマで集まり、テーマを変えて読み合う近いテーマの友達と深めたあと、ちがうテーマの友達と読み合うと、感じ方のちがいに気づけます。
5字数の目安を決める「200字程度」のように目安があると、何を入れて何をけずるかを考えるきっかけになります。
使える話型
「わたしは、〜を入れます。わけは、〜段落に『〜』と書いてあり、わたしのテーマの中心だからです。」
「〇〇さんとテーマはちがうけれど、〜」

先生たちの実践例3選

実践1|興味のテーマでグループをつくり、紹介し合う(立石泰之先生)

光村図書の授業づくりの資料では、筑紫女学園大学の立石泰之先生が、全8時間の単元を紹介しています。初めの感想から興味をもったことが近い子どもでグループをつくり、要約のしかたや事例の書かれ方を話し合って、本文の言葉を引用した紹介文を書きます。最後はテーマのちがう子ども同士で新しいグループをつくって読み合い、一人一人の感じ方のちがいに気づかせています。

まねするなら
初めの感想を短冊に書かせて黒板でまとめ、似たテーマの短冊どうしでグループをつくってみましょう。

実践2|文を並べかえて「尾括型」に気づく(静岡県・浜松市立中瀬小学校)

中瀬小学校のブログでは、4年生が各段落から抜き出された文を並べかえて、文章を「初め」「中」「終わり」に分ける授業が紹介されています。子どもたちはワークシートをもとに自分たちで話し合いを進め、筆者の主張が終わりに書かれている「尾括型」の文章であることを確かめています。

実践3|「自分ならどう作る?」で筆者と同じ気持ちになる(国語授業ラボ・西尾先生)

千葉県の小学校教員の西尾先生は、noteで導入の工夫を紹介しています。題名を板書すると「風船で宇宙?」「無理じゃない?」と声が上がったところで、実際に風船で宇宙の写真を撮った人がいることを伝え、「自分たちだったらどんな装置を作る?」と問いかけました。子どもたちが自分のアイデアを出し合うことで、筆者の挑戦を自分ごととして読み始められたそうです。

「風船でうちゅうへ」の授業で、短冊カードを指さしながら話し合う4年生

よくある質問

Q. 風船でうちゅうへは何時間扱いですか?

A. 公開されている授業づくりの資料では、全8時間で計画されています。学校の年間指導計画と、教科書会社の指導書で時数を確認してください。

Q. 要約が、ただの書き写しになってしまいます。

A. 先に「何に興味をもったか」をはっきりさせ、そのテーマに合う言葉だけを選ばせましょう。「200字程度」などの字数の目安を決めると、入れる言葉とけずる言葉を考えるきっかけになります。

Q. 前の教材「世界にほこる和紙」の指導案は使えますか?

A. 教材が入れかわったため、そのままでは使えません。「風船でうちゅうへ」は時間の順に挑戦の過程を書いた尾括型の文章で、単元のねらいも「興味をもったことを中心に要約して紹介する」ことです。構成の捉え方や言語活動を、新しい教材に合わせて見直しましょう。

Q. ワークシートや指導案に本文を載せてもいいですか?

A. 授業で使うために必要な範囲であれば、著作権法で認められています。ただし、学校のホームページなど、外に公開する場合は扱いが変わるので注意しましょう。

参考にした情報

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