地域の発展につくした人々 指導案 4年社会|「用水でくらしはどう変わった?」から考える本時の発問・板書・ワークシート

「先人の働きの単元の指導案を書かなくちゃいけない」「昔の出来事の調べ学習が、年表を写すだけで終わってしまう」「先人の苦労は分かっても、『今の自分たちとつながっている』まで子どもが考えられない」。4年生の社会を担当する先生から、よく聞く悩みです。

この記事では、4年社会の単元「地域の発展につくした人々」(きょう土の発展につくす)から、用水が完成して、人々のくらしがどう変わったかを考える時間の指導案を、子どもが主体的に話し合う授業を軸にまとめました。教材研究のポイント、単元計画、本時の展開と板書例、そのまま使えるワークシート、先生たちの実践を紹介します。

用水ができる前と後の地図をくらべて話し合う4年生の男の子と女の子
この記事でわかること

  • 「昔の人はえらい」で終わらせず、問いに変える教材研究のポイント
  • 単元の目標と評価規準
  • 単元計画(全8時間)
  • 本時(用水ができてくらしはどう変わった?)の指導案と板書例、ワークシート
  • 4年生が主体的に話し合う5つの工夫と、先生たちの実践例

この記事は、全国の小学校教員が実践を学び合うオンラインコミュニティ「授業てらす」が、公開されている指導案や先生たちの実践をもとに編集しています(2026年11月時点)。

目次

先人の働きの単元の教材研究

この単元では、用水路や堤防、新田の開発などで地域を発展させた先人を取り上げます。どの先人を扱うかは、教科書や地域の副読本によってちがいます。この記事では、多くの地域で教材になっている用水の開発を例に紹介します。

4年生の子どもは、先人の話を聞くと「すごい人」「えらい人」と感じます。でも、そこで止まると、人物の伝記を読んだだけになってしまいます。大切なのは、「用水ができる前と後で、何が変わったのか」を資料で比べ、先人の働きと人々のくらしの変化を結びつけることです。

用水ができる前と後で、何が変わった?

資料を比べると、先人の働きの意味が見えてくる

土地のようす 荒れ地・水不足の台地 → 一面の水田
ポイント:完成前と後の地図を並べて、色のちがいで見せる
米のとれ高 日照りのたびに不作 → 米が多くとれる
ポイント:グラフや表で、数字の変化を読み取る
人々の願い 「水がほしい」→ かなった
ポイント:「なぜ、そこまでして水を引いたの?」が、いちばん話し合いが生まれる
今とのつながり 今も用水が使われている
ポイント:今の地域の田畑や生活と結びつけ、自分ごとにする
話し合いの軸は「先人の働きで、人々のくらしはどう変わった?」

本時では、学んだ事実(工事の苦労・土地や米の変化)を根拠にして、先人の働きを自分の言葉でまとめることをめざします。事実と考えを分けて整理できる思考ツールを使うと、4年生でも根拠のある説明ができるようになります。

3年生の社会は3年社会「火事からくらしを守る」指導案、理科は4年理科「わたしたちの体と運動」指導案でも紹介しています。

単元の目標と評価規準

学習指導要領(第4学年 内容(5) 県内の伝統や文化、先人の働き)の内容をもとに、目標と評価規準を次のように設定します。

観点 評価規準(例)
知識・技能 地域の発展に尽くした先人は、様々な苦心や努力により当時の生活の向上に貢献したことを理解している。年表や地図、写真などの資料で、必要な情報を集め、読み取っている。
思考・判断・表現 当時の世の中の課題や人々の願いなどに着目して問いを見いだし、先人の働きと人々のくらしの変化を関連付けて考え、表現している。
主体的に学習に
取り組む態度
地域の発展に尽くした先人の働きについて、予想や学習計画を立てて主体的に追究し、地域の発展について考えようとしている。

※学習指導要領 社会 第4学年 内容(5)「県内の伝統や文化、先人の働き」をもとにした例です。

単元計画(全8時間)

公開されている指導案では、この単元を全6〜13時間で計画している例が見られます。地域の施設見学や、ほかの先人を調べる活動を入れるかどうかで時数が変わります。ここでは、全8時間の例を紹介します。

時 主な学習活動 子どもが話す工夫
1時 今と昔の地域の地図や写真を比べ、気づいたことから学習問題をつくる 「昔は田んぼがなかったの?」「なぜ変わったの?」を出し合う
2時 用水ができる前の人々のくらしと、地域の課題を調べる 水不足や日照りの資料から、人々の願いを想像する
3時 先人がどのような計画を立てたのかを調べる 高低差の図を見て「どうやって水を流すの?」を考える
4時 工事の様子や道具を調べ、人々の苦労や工夫を考える 手作業の道具や年表から、工事にかかった年月や人数を読み取る
5時
(本時)
用水の完成で、人々のくらしがどう変わったかを考え、先人の働きをまとめる 事実を根拠に「先人の働きで、くらしはどう変わった?」を説明し合う
6時 今も使われている用水や、それを守る人々の取組を調べる 今の地域の田畑とのつながりを話し合う
7・8時 先人に手紙や賞状を書き、学習問題の答えをまとめる 友達の手紙を読み合い、心に残った働きを伝え合う
1時で「今と昔の地図」を比べておくと、本時で完成前後の地図を見たときに、「この用水のおかげで変わったんだ」という気づきが自然に出てきます。

本時の指導案(用水ができてくらしはどう変わった?)

本時は、これまで調べてきたことをもとに、用水の完成で人々のくらしがどう変わったかを考え、先人の働きをまとめる時間です。「先人の働きで、人々のくらしはどう変わった?」と問い、工事の苦労や土地・米の変化などの事実を根拠にして話し合います。人物をほめて終わるのではなく、「働き」と「くらしの変化」を結びつけることを大切にします。

  • 本時の目標:用水の完成前後の資料を比べ、先人の働きや人々の苦心と、くらしの変化を関連付けて、先人の働きを表現する。
  • めあて(子どもの言葉で):用水ができて、人々のくらしはどう変わったのか考えよう。
  • 準備する物:用水完成前と後の地図、米のとれ高のグラフ、工事の年表やイラスト、クラゲチャートのワークシート、ネームプレート
段階 学習活動と主な発問 予想される子どもの反応 留意点・話す工夫
導入
(7分)
①これまでに調べた先人の計画や工事の様子をふり返る。
②完成前と後の地図を見比べる。
発問:2つの地図で、何が変わった?
「田んぼが広がっている」「水路がのびている」「荒れ地がなくなった」 2枚の地図を黒板に並べて貼る。気づいたことを地図の上に書きこむ。
展開1
(13分)
③米のとれ高のグラフや当時の人の言葉から、くらしの変化を読み取る。
発問:人々のくらしは、どう変わった?
「米がたくさんとれるようになった」「日照りでも困らなくなった」「生活が楽になった」 読み取った事実をクラゲチャートの「足」に書かせる。1つ目は全体で例を示す。
展開2
(17分)
④グループで事実を整理し、先人の働きを考える。
発問:〇〇(先人)は、なぜそこまでして用水をつくったのだろう?
「村の人を助けたかった」「水不足で困っている人を見ていたから」「何年かかっても、みんなのためにやりとげた」 考えの根拠になる事実を「足」から選んで話すよう声をかける。ネームプレートで、どの事実を一番の根拠にしたかを黒板に表す。
まとめ
(8分)
⑤先人の働きを、短い文でまとめる。
⑥ふり返りを書く。
「〇〇は、長い年月と多くの人の力で用水をつくり、荒れ地を水田に変えて、人々のくらしを豊かにした」 「〇〇は」「荒れ地が」などの書き出しを示し、事実を根拠にした短文にまとめさせる。

板書の例

用水ができて、人々のくらしはどう変わったのか考えよう
用水ができる前
  • 荒れ地が 多い
  • 日照りで 米が とれない
  • 水が ほしいという 願い
(完成前の地図を貼る)
先人の働き
計画:高低差を調べて 水路を考えた
↓
工事:何年もかけ 多くの人と 手作業で
(年表・工事のイラストを貼る)
用水ができた後
  • 一面の 水田に
  • 米が 多く とれる
  • 今も 使われている
先人の働きで くらしが 豊かになった

板書では、左に用水ができる前、右にできた後、真ん中に先人の働きを書きます。前と後の地図を左右に貼り、その間に先人の働きを置くと、「働き」が「くらしの変化」をつないでいることが目で見て分かります。

ワークシート

本時で使えるワークシートです。完成前と後を比べる表、事実と考えを整理するクラゲチャート、書き出しつきのまとめ、ふり返りの欄があります。印刷してそのまま使えます(A4)。

4年社会 地域の発展につくした人々のワークシート。用水ができる前と後をくらべる表、クラゲチャート、書き出しつきのまとめ、ふり返りの欄がある

4年生が主体的に話し合う5つの工夫

1前と後を並べて見せる完成前と後の地図を並べると、「何が変わった?」という問いが子どもから自然に生まれます。
2事実と考えを分けるクラゲチャートで「足」に事実、「頭」に考えを書くと、根拠のある説明ができます。
3「なぜそこまで?」を問う何年もかかる工事を続けた理由を考えると、先人の思いや人々の願いに目が向きます。
4一番の根拠を選ぶネームプレートで、どの事実を一番大事だと考えたかを表すと、考えのちがいが話し合いになります。
5今とつなげる「今もこの用水は使われている?」と問うと、学習が自分たちの地域のことになります。
使える話型
「わたしは、〜だと思います。わけは、資料で〜が分かったからです。」
「〇〇さんとはちがって、ぼくは〜がいちばん大きな変化だと思います。」

つまずきやすいポイントと手立て

つまずき 手立て
「えらい人」「すごい人」で終わってしまう 「何をしたから、すごいの?」「それで、くらしはどう変わった?」と問い返し、事実と結びつけさせる。
先人1人の力だけで完成したと考える 工事に関わった人数や村人の協力の資料を示し、多くの人の苦心や努力があったことに気づかせる。
資料から必要な情報を選べない 読み取る観点(土地・米・人々の言葉)を示し、1つ目は全体で一緒に読み取る。
昔の時代の感覚がつかめない 機械がなく手作業だったこと、何年かかったかを、今の自分の年齢などと比べてイメージさせる。

扱う先人や用水は、地域や教科書によってちがいます。地域の資料館や用水を管理している団体のホームページ、副読本などで、地図や写真、当時の人の言葉など、子どもが比べやすい資料を事前に集めておきましょう。

先生たちの実践例

実践1|クラゲチャートで事実と考えをつなぐ(山形県高畠町立屋代小学校)

山形県高畠町立屋代小学校の阿部達也先生の指導案(全6時間)では、江戸時代に水不足の地域へ用水を引いた黒井半四郎と黒井堰を扱っています。本時(第5時)では、「どのようにして水路をつくったか」「人々のくらしはどう変化したか」を、完成前後の地図や米の収穫高、工事の様子のイラストから整理します。思考ツール「クラゲチャート」の足に事実、頭に考えを書き、「黒井半四郎は」「荒れ地が」などの書き出しで短い文にまとめています。最後は黒井半四郎に賞状を書き、今も使われていることを確かめています。

まねするなら
まとめの書き出しを決めておくと、書くことが苦手な子も、事実を根拠にした短い文で先人の働きを表現できます。

実践2|地域の銅像や碑から歴史をさがす(愛知県 明治用水の教材)

愛知県総合教育センターのサイトで公開されている「明治用水を開く」の活用例では、単元のはじめに家庭で「まちのれきしさがし」をして、地域の碑や銅像、地名などから歴史の手がかりを集めます。発表で2つの銅像に注目させ、明治用水を開いた人々につなげています。用水の資料館での見学や聞き取りを組み合わせ、荒れた台地が水田地帯に変わったことに気づかせる流れです。

黒板に2枚の地図をはって授業する先生と、手を挙げる4年生の子どもたち

よくある質問

Q. どの先人を扱えばいいですか?

A. 教科書の事例か、地域の副読本に出てくる先人を扱うのが一般的です。県内の先人を扱うことになっているので、自分たちの地域とつながりのある事例を選ぶと、子どもが自分ごととして考えやすくなります。

Q. この単元は何時間扱いが多いですか?

A. 公開されている指導案では、全6〜13時間で計画している例が見られます。見学や、ほかの先人を調べて新聞にまとめる活動を入れると時数が増えます。学校の年間指導計画で確認してください。

Q. 見学に行けない場合は?

A. 用水を管理している団体や資料館のホームページ、副読本の写真や地図を使って調べられます。地域の方にゲストティーチャーとして話してもらったり、オンラインで質問したりする方法もあります。

Q. 先人を美化しすぎないためには?

A. 先人1人の力ではなく、工事に関わった多くの人々の苦心や協力にも目を向けさせましょう。「なぜ多くの人が協力したのか」を考えると、当時の人々の願いや、地域全体で発展をめざしたことが見えてきます。

参考にした情報

授業てらすの授業の様子
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何年目かより、
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